腹腔鏡検査にて診断した肝鎌状間膜欠損症(亜全欠損型)の2例

症例1は54歳男性。糖尿病と肝機能障害の精査目的にて入院となり,腹腔鏡検査を施行した。肝円索は認めたが,肝鎌状間膜はドーム下に一部残存するものの,大部分が欠損していた。通常の肝鎌状間膜の部位には白色瘢痕を認めた。2年後,HCV抗体陽性にて肝機能の増悪を認めたため,再度腹腔鏡検査を施行したが,肝鎌状間膜欠損に変化は認められなかった。症例2は58歳女性。肝機能障害の精査目的にて入院となり,腹腔鏡検査を施行した。1例目と同様に肝円索は認めたが,肝鎌状間膜はドーム下に一部残存するのみで,大部分が欠損していた。白色瘢痕も同様に認められた。また,横隔膜と肝表面に多数の索状の癒着を認めた。肝鎌状間膜欠損症の...

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Published in消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy Vol. 46; pp. 112 - 114
Main Authors 松本, 茂藤子, 横山, 孝典, 松尾, 英男, 斎藤, 光浩, 今村, 真紀子, 徳植, 秀樹, 柴山, 淳, 高須, 政夫, 中島, 洋, 斎藤, 昌三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 1995
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Summary:症例1は54歳男性。糖尿病と肝機能障害の精査目的にて入院となり,腹腔鏡検査を施行した。肝円索は認めたが,肝鎌状間膜はドーム下に一部残存するものの,大部分が欠損していた。通常の肝鎌状間膜の部位には白色瘢痕を認めた。2年後,HCV抗体陽性にて肝機能の増悪を認めたため,再度腹腔鏡検査を施行したが,肝鎌状間膜欠損に変化は認められなかった。症例2は58歳女性。肝機能障害の精査目的にて入院となり,腹腔鏡検査を施行した。1例目と同様に肝円索は認めたが,肝鎌状間膜はドーム下に一部残存するのみで,大部分が欠損していた。白色瘢痕も同様に認められた。また,横隔膜と肝表面に多数の索状の癒着を認めた。肝鎌状間膜欠損症の報告例は少なく,国内外で28例の報告があるが,そのうち22例はイレウスを発症し,手術にて発見されている。本症例のように,腹腔鏡にて偶然発見されているものは本邦では6例のみであり,まれと考えられ報告する。
ISSN:0389-9403
2189-0021
DOI:10.11641/pdensks.46.0_112