醸膿胸膜剥皮と有茎肋間筋弁被覆により治癒した非結核性抗酸菌症(Mycobacterium intracellulare)に合併した難治性膿気胸の1例

66歳男性.2003年に特発性肺線維症と診断,経過観察されていた.2014年9月,非結核性抗酸菌症の診断で化学療法を開始したが,内服継続拒否で2015年5月から経過観察となっていた.2016年5月,発熱,右胸痛で当院を受診,M. intracellulare感染による膿気胸と診断し,胸腔ドレナージ,化学療法を開始したが気漏,炎症の改善に乏しく手術の方針とした.下葉S6に肺瘻孔を認め,遊離脂肪組織を充填,有茎壁側胸膜弁を作製,瘻孔を被覆し手術を終了した.肺の拡張,気漏消失を得たが術後5日目に気胸の再発を認めた.右下葉虚脱が持続し,術後14日目に再手術とした.有茎肋間筋弁を作製,下葉全面の醸膿胸膜...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 31; no. 7; pp. 880 - 884
Main Authors 松村, 晃秀, 名越, 章裕, 小島, 健介, 内海, 朝喜, 尹, 亨彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2017
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.31.880

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Summary:66歳男性.2003年に特発性肺線維症と診断,経過観察されていた.2014年9月,非結核性抗酸菌症の診断で化学療法を開始したが,内服継続拒否で2015年5月から経過観察となっていた.2016年5月,発熱,右胸痛で当院を受診,M. intracellulare感染による膿気胸と診断し,胸腔ドレナージ,化学療法を開始したが気漏,炎症の改善に乏しく手術の方針とした.下葉S6に肺瘻孔を認め,遊離脂肪組織を充填,有茎壁側胸膜弁を作製,瘻孔を被覆し手術を終了した.肺の拡張,気漏消失を得たが術後5日目に気胸の再発を認めた.右下葉虚脱が持続し,術後14日目に再手術とした.有茎肋間筋弁を作製,下葉全面の醸膿胸膜剥皮を追加し筋弁を瘻孔に縫着,被覆して手術を終了した.術後気漏を認めずドレーンを抜去,膿胸の再燃もなく治癒した.非結核性抗酸菌症に合併した膿気胸の治療に醸膿胸膜剥皮後の有茎肋間筋弁被覆が有効であった.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.31.880