同一手指に腱鞘巨細胞腫と血管平滑筋腫を生じた一例

「はじめに」同一手指に全く異なった組織の軟部腫瘍が発生したとの報告はなく, 極めて稀であるが, 今回我々は, 左示指に腱鞘巨細胞腫(GCT of tendon sheath)と血管平滑筋腫(vascular leiomyoma)が発生した一例を経験したので, 報告する. 症例 症例:39歳, 男性 主訴:左示指腫瘤 既往歴:特記すべきことなし 現病歴:平成12年9月頃から, 特に誘因なく左示指指尖部の腫瘤が出現. 徐々に腫瘤増大し, 疼痛も出現してきたため, 平成13年1月26日当科外来受診. 初診時現症:左示指指尖部尺側に可動性のない, 多結節生の弾性硬の腫瘤を触知し, 局所に, 圧痛および...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 52; no. 4; pp. 724 - 728
Main Authors 薬師寺, 俊剛, 米村, 憲輔, 川添, 泰弘, 高木, 克公, 加藤, 悌二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2003
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.52.724

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Summary:「はじめに」同一手指に全く異なった組織の軟部腫瘍が発生したとの報告はなく, 極めて稀であるが, 今回我々は, 左示指に腱鞘巨細胞腫(GCT of tendon sheath)と血管平滑筋腫(vascular leiomyoma)が発生した一例を経験したので, 報告する. 症例 症例:39歳, 男性 主訴:左示指腫瘤 既往歴:特記すべきことなし 現病歴:平成12年9月頃から, 特に誘因なく左示指指尖部の腫瘤が出現. 徐々に腫瘤増大し, 疼痛も出現してきたため, 平成13年1月26日当科外来受診. 初診時現症:左示指指尖部尺側に可動性のない, 多結節生の弾性硬の腫瘤を触知し, 局所に, 圧痛および軽度の発赤を認めた(図1-a). 画像所見:当科初診時, 単純レ線にて末節骨および, 中節骨に不整な虫喰い様骨破壊像を認めた(図1-b). MRIでは, sagittal像にて, 左示指DIP関節周囲に, T1, T2強調像ともに低信号を示し, Gdにてよくエンハンスされる病変を認め, axial像にても, 病変は, 腱鞘の周りを取り巻くように存在し, 骨はerosiveであった(図2). 入院後経過:平成13年2月5日腫瘤摘出術施行した. 腫瘍は黄褐色で分葉状を呈し, DIP関節内に入り込んでおり, 末節骨および中節骨遠位への浸潤が認められた.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.52.724