老年者心筋梗塞の特徴 急性期臨床像・冠動脈所見・冠危険因子と長期予後
老年者急性心筋梗塞の特徴を明らかにするために, 13年間に当科入院の急性心筋梗塞患者447例を65歳以上の老年者群と65歳未満の非老年者群を対比し, 急性期死因, 予後調査および冠動脈造影所見より検討した. 患者の性別年齢別構成では加齢とともに女性例が増加し, 男性/女性比は70歳以上で2.4/1で, 全対象の4.0/1に比し老年者では女性の比率が高値を示した. 急性期死亡は74例あり, 65歳未満で31例, 致命率は8.8%, 65歳以上で43例, 致命率は29.1%と老年者群で有意に多く認められた. また, 心破裂は10例中7例は65歳以上で, 老年者に多い傾向が認められた. 心臓カテーテ...
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Published in | 日本老年医学会雑誌 Vol. 27; no. 1; pp. 52 - 56 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本老年医学会
01.01.1990
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Subjects | |
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ISSN | 0300-9173 |
DOI | 10.3143/geriatrics.27.52 |
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Summary: | 老年者急性心筋梗塞の特徴を明らかにするために, 13年間に当科入院の急性心筋梗塞患者447例を65歳以上の老年者群と65歳未満の非老年者群を対比し, 急性期死因, 予後調査および冠動脈造影所見より検討した. 患者の性別年齢別構成では加齢とともに女性例が増加し, 男性/女性比は70歳以上で2.4/1で, 全対象の4.0/1に比し老年者では女性の比率が高値を示した. 急性期死亡は74例あり, 65歳未満で31例, 致命率は8.8%, 65歳以上で43例, 致命率は29.1%と老年者群で有意に多く認められた. また, 心破裂は10例中7例は65歳以上で, 老年者に多い傾向が認められた. 心臓カテーテル検査を133例施行し, 老年者では多枝病変例が多く, 駆出率, 心係数は低値を示した. 冠危険因子ごとの生存曲線では, 喫煙, 高血圧の有無について生存率の差はみられなかった. 高コレステロール血症については, 65歳未満ではその改善により生存率の低下を抑えられたが, 65歳以上では生存率に差はみられなかった. 糖尿病については65歳以上でコントロール不良群の生存率の低下を認めた. 高血圧, 喫煙については老年者の特徴を見出せなかった. 今回の検討において, 老年者心筋梗塞は多枝病変が多く, 心機能低下を示す例が多かったが, その長期予後との関連は単独では関連が弱かった. |
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ISSN: | 0300-9173 |
DOI: | 10.3143/geriatrics.27.52 |