糖尿病合併肺結核患者のIFN-γ産生能の経時的変化の検討

糖尿病患者の肺結核合併率は高率である。その病理免疫学的機序を明らかにするために, IFN-γ産生能を抗結核化学療法中, 縦断的に追跡測定した。診断時, 健常コントロール群, 糖尿病のない結核患者群 (TB), コントロール良好糖尿病合併結核患者群 (DM (g) TB), コントロール不良糖尿病合併結核患者群 (DM (p) TB) の順にCD4+T細胞によるIFN-γ 産生能が有意に低下していた。標準療法B法で治療後, TB群とDM (g) TB群のIFN-γ 産生能は6カ月までにコントロールレベルまで回復していた。一方, DM (P) TB群ではIFN-γ 産生能の低下が持続していた。治療...

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Published in結核 Vol. 77; no. 5; pp. 409 - 413
Main Authors 塚口, 勝彦, 岡村, 英生, 松澤, 邦明, 田村, 猛夏, 宮崎, 隆治, 玉置, 伸二, 木村, 弘
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 一般社団法人 日本結核病学会 15.05.2002
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Summary:糖尿病患者の肺結核合併率は高率である。その病理免疫学的機序を明らかにするために, IFN-γ産生能を抗結核化学療法中, 縦断的に追跡測定した。診断時, 健常コントロール群, 糖尿病のない結核患者群 (TB), コントロール良好糖尿病合併結核患者群 (DM (g) TB), コントロール不良糖尿病合併結核患者群 (DM (p) TB) の順にCD4+T細胞によるIFN-γ 産生能が有意に低下していた。標準療法B法で治療後, TB群とDM (g) TB群のIFN-γ 産生能は6カ月までにコントロールレベルまで回復していた。一方, DM (P) TB群ではIFN-γ 産生能の低下が持続していた。治療法による比較では, どの群においても, 治療6カ月後のPBMCによるIFN-γ 産生能にA法とB法間で有意差を認めなかった。A法で6カ月治療後のDM (P) TB群のIFN-γ 産生能は低値であった。これらの結果はDM (P) TB群のIFN-γ 産生能の低下がコントロール不良糖尿病から生じる内因的欠陥による可能性を示唆している。特にこの群では残存菌再増殖による再発に注意する必要がある。
ISSN:0022-9776
1884-2410
DOI:10.11400/kekkaku1923.77.409