自閉症の方言使用に関する事例的検討 学齢期・青年期に方言使用が見られた5事例について

松本・崎原・菊地・佐藤(2014)は,「自閉症は方言を話さない」とする印象が全国で普遍的であることを報告している。しかしながら,共通語を使用してきたASD が学齢期あるいは青年期において方言を使用するようになる事例が存在するとの報告が教員・保護者からあった。該当する5 事例について,方言使用開始時期および対人的認知スキルに関する55 項目についての質問紙を実施した。方言使用開始時期は,7 歳,9 歳,16 歳,16 歳,18 歳で事例によって差がみられた。獲得されているとされた対人的認知スキルのうち,方言使用開始前後の時期に獲得されたとする項目数の割合は,26%〜97%であった。また,それ以前...

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Published in植草学園大学研究紀要 Vol. 11; pp. 5 - 15
Main Authors 松本, 敏治, 菊地, 一文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 学校法人 植草学園大学 31.03.2019
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Summary:松本・崎原・菊地・佐藤(2014)は,「自閉症は方言を話さない」とする印象が全国で普遍的であることを報告している。しかしながら,共通語を使用してきたASD が学齢期あるいは青年期において方言を使用するようになる事例が存在するとの報告が教員・保護者からあった。該当する5 事例について,方言使用開始時期および対人的認知スキルに関する55 項目についての質問紙を実施した。方言使用開始時期は,7 歳,9 歳,16 歳,16 歳,18 歳で事例によって差がみられた。獲得されているとされた対人的認知スキルのうち,方言使用開始前後の時期に獲得されたとする項目数の割合は,26%〜97%であった。また,それ以前に獲得されていた項目数と方言使用開始時期に獲得された項目数の割合を領域別で求めたところ,意図理解および会話の領域での伸びが顕著であった。これらの結果にもとづいて,ASD の方言使用と対人認知の関連について議論した。
ISSN:1883-5988
2433-555X
DOI:10.24683/uekusad.11.0_5