一酸化窒素の溶存酸素による液相酸化速度

酸性水溶液中における亜硝酸によるヨウ素イオンの酸化反応の挙動を観測した結果から, HNO2によるI-の酸化反応は極めて迅速な反応であるが, 密閉容器中でI-の初濃度がHNO2の初濃度より高い条件で反応が進行すると, 副生するNOは系内に留まり, 溶存酸素によって酸化され, NO2を経てHNO2を再生する反応サイクルを構成するために, I-の酸化がHNO2の初濃度に対する量論値以上まで進むことが見出された.そして, この過剰ヨウ素の生成速度は液中におけるNOの溶存酸素による液相酸化速度に支配されていると推論された. 以上の知見に基づいて, I-の総括反応速度の解析を行い, 溶存酸素によるNOの液...

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Published in化学工学論文集 Vol. 15; no. 6; pp. 1115 - 1119
Main Authors 武藤, 邦夫, (故), 江口 彌, 谷垣, 昌敬, 土屋, 博嗣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 化学工学会 1989
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ISSN0386-216X
1349-9203
DOI10.1252/kakoronbunshu.15.1115

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Summary:酸性水溶液中における亜硝酸によるヨウ素イオンの酸化反応の挙動を観測した結果から, HNO2によるI-の酸化反応は極めて迅速な反応であるが, 密閉容器中でI-の初濃度がHNO2の初濃度より高い条件で反応が進行すると, 副生するNOは系内に留まり, 溶存酸素によって酸化され, NO2を経てHNO2を再生する反応サイクルを構成するために, I-の酸化がHNO2の初濃度に対する量論値以上まで進むことが見出された.そして, この過剰ヨウ素の生成速度は液中におけるNOの溶存酸素による液相酸化速度に支配されていると推論された. 以上の知見に基づいて, I-の総括反応速度の解析を行い, 溶存酸素によるNOの液相酸化速度式およびその温度依存性を求めた.得られた速度式は, 気相反応と同形であったが, 気相反応の場合と異なり, 正の温度係数を示した.これはHenry定数の温度依存性によるものであると推定される.
ISSN:0386-216X
1349-9203
DOI:10.1252/kakoronbunshu.15.1115