下部消化管出血に対する緊急IVRの有用性 憩室出血症例に対する検討

下部消化管出血における憩室出血の頻度は高く,ときに致命的である。2007年1月~2013年1月までに下部消化管出血で救急搬送され,憩室出血と診断された61症例を対象に緊急治療におけるIVRの有用性を検討した。17例で緊急IVRが施行され,IVR群は非IVR群に比して重症度が高く,IVR群17例中5例は来院時にショックを呈していた。塞栓部位は直動脈が8例,辺縁動脈が9例で,塞栓物質としてはコイルを9例,ゼラチンスポンジを8例で使用し,全症例で緊急止血に成功した。再出血を1例で認め,IVRの偶発症としては,手術を要する腸管壊死が1例,限局性腹膜炎が2例,急性腎傷害が1例認められた。IVRによる止血...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 34; no. 7; pp. 1311 - 1316
Main Authors 澤野, 宏隆, 稲葉, 基高, 林, 靖之, 甲斐, 達朗, 金原, 太, 伊藤, 裕介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.11.2014
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.34.1311

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Summary:下部消化管出血における憩室出血の頻度は高く,ときに致命的である。2007年1月~2013年1月までに下部消化管出血で救急搬送され,憩室出血と診断された61症例を対象に緊急治療におけるIVRの有用性を検討した。17例で緊急IVRが施行され,IVR群は非IVR群に比して重症度が高く,IVR群17例中5例は来院時にショックを呈していた。塞栓部位は直動脈が8例,辺縁動脈が9例で,塞栓物質としてはコイルを9例,ゼラチンスポンジを8例で使用し,全症例で緊急止血に成功した。再出血を1例で認め,IVRの偶発症としては,手術を要する腸管壊死が1例,限局性腹膜炎が2例,急性腎傷害が1例認められた。IVRによる止血成功率は高く,循環動態不安定例に対しても有効で緊急手術の回避が可能である。しかし腸管壊死などの重篤な偶発症に注意が必要であり,IVRで止血困難な症例では手術に移行する機会を逸さないことが重要である。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.34.1311