出血性上部消化管潰瘍に対するNBCA塞栓術 循環への寄与と粘膜治癒の経過

内視鏡的止血困難例26例を対象に,出血性上部消化管潰瘍に対するN-butyl-2-cyanoacrylate(NBCA)を用いた動脈塞栓術後の循環動態変化と粘膜治癒過程に関する評価・検討を行った。塞栓術により全例で即時的な止血と有意な循環動態の改善が確認された。塞栓術前の潰瘍病変は全例Forrest Ⅰ(Ia 20,Ib 6)であり,塞栓術後には明らかな虚血性粘膜障害は認められず,11±7.9日で Forrest Ⅲまでの改善が確認された。NBCAは適正な使用下では潰瘍治癒過程において大きな妨げにはならないものと考えられ,安全かつ有用性の高い塞栓物質であると考えられた。...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 34; no. 7; pp. 1289 - 1293
Main Authors 嶺, 貴彦, 村田, 智, 小野澤, 志郎, 上田, 達夫, 山口, 英宣, 杉原, 史恵, 安井, 大祐, 宮内, 雅人, 田島, 廣之, 汲田, 伸一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.11.2014
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Summary:内視鏡的止血困難例26例を対象に,出血性上部消化管潰瘍に対するN-butyl-2-cyanoacrylate(NBCA)を用いた動脈塞栓術後の循環動態変化と粘膜治癒過程に関する評価・検討を行った。塞栓術により全例で即時的な止血と有意な循環動態の改善が確認された。塞栓術前の潰瘍病変は全例Forrest Ⅰ(Ia 20,Ib 6)であり,塞栓術後には明らかな虚血性粘膜障害は認められず,11±7.9日で Forrest Ⅲまでの改善が確認された。NBCAは適正な使用下では潰瘍治癒過程において大きな妨げにはならないものと考えられ,安全かつ有用性の高い塞栓物質であると考えられた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.34.1289