牛の血清膠質反応と肝機能検査

一般に肝機能検査には血液からの生体情報が最も役立ち, 現在多項目にわたる検査法がキット化され, また微量法で実施できる。しかし動物は飼育環境, 年齢, 妊娠などにより正常域に幅があり, 少しの変化をとらえての疾患の診断に結びつけることはむずかしい。 血清膠質反応は肝における蛋白代謝を大きな変化としてとらえるため, 数項目の検査で肝機能を調べられかつ短時間に, 複雑な機器を用いることなく実施できる。この膠質反応をより客観的評価としてとらえるため57例の血清を試料として, 比較的一般的に実施される4種の血清膠質反応 (ZTT, TTT, グロス反応, ルゴール反応に着目し, 10項目の生化学検査...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in獣医科学と統計利用 Vol. 1985; no. 14-15; pp. 44 - 50
Main Author 戸井, 建三
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 獣医疫学会 1985
Online AccessGet full text
ISSN1884-5606
DOI10.2743/jve1977.1985.44

Cover

More Information
Summary:一般に肝機能検査には血液からの生体情報が最も役立ち, 現在多項目にわたる検査法がキット化され, また微量法で実施できる。しかし動物は飼育環境, 年齢, 妊娠などにより正常域に幅があり, 少しの変化をとらえての疾患の診断に結びつけることはむずかしい。 血清膠質反応は肝における蛋白代謝を大きな変化としてとらえるため, 数項目の検査で肝機能を調べられかつ短時間に, 複雑な機器を用いることなく実施できる。この膠質反応をより客観的評価としてとらえるため57例の血清を試料として, 比較的一般的に実施される4種の血清膠質反応 (ZTT, TTT, グロス反応, ルゴール反応に着目し, 10項目の生化学検査 (総タンパク, アルブミン, 無機リン, 総コレステロール, グルコース, 尿素窒素, 尿酸, クレアチニン, AIP GOT, GPT, LDH) さらに電気泳動による蛋白分画を実施し, 血清膠質反応がどの程度肝の状態を反映するかを統計的に解析した。また同時に剖見時の肝の肉眼所見と膠質反応を比較した。その結果, TTTを除く3種はγ-グロブリン量と高い相関を示し, また肝の萎縮肥大, 胆管炎とも高い相関を示し膠質反応の有用性が統計的手法による解析からも示唆された。
ISSN:1884-5606
DOI:10.2743/jve1977.1985.44