温熱化学療法におけるアポトーシス

温熱化学療法によって誘導されるアポトーシスと抗腫瘍効果との関係をin vitro, in vivoで検討した.培養細胞を用いたin vitroの検討では, adriamycinおよびcisplatinが腫瘍細胞にアポトーシス (DNA fragmentation) を誘導し, さらに温熱併用により両薬剤の殺細胞効果, アポトーシスともに増強され, 両者の相関が認められた.In vivoにおいては, 固型腫瘍を用いて, 温熱と5-fluorouracil (5-FU) のアポトーシス誘導作用および抗腫瘍効果を比較検討した.その結果, 温熱では治療4時間後にピークを示す急激なアポトーシス細胞の増加...

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Published in日本ハイパーサーミア学会誌 Vol. 12; no. 1; pp. 63 - 66
Main Authors 坂口, 善久, 冨崎, 真一, 北村, 薫, 大野, 真司, 市吉, 裕二, 前原, 喜彦, 杉町, 圭蔵
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ハイパーサーミア学会 1996
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Summary:温熱化学療法によって誘導されるアポトーシスと抗腫瘍効果との関係をin vitro, in vivoで検討した.培養細胞を用いたin vitroの検討では, adriamycinおよびcisplatinが腫瘍細胞にアポトーシス (DNA fragmentation) を誘導し, さらに温熱併用により両薬剤の殺細胞効果, アポトーシスともに増強され, 両者の相関が認められた.In vivoにおいては, 固型腫瘍を用いて, 温熱と5-fluorouracil (5-FU) のアポトーシス誘導作用および抗腫瘍効果を比較検討した.その結果, 温熱では治療4時間後にピークを示す急激なアポトーシス細胞の増加を認めたが, 5-FUの場合アポトーシスは緩徐に上昇し192時間後にピークとなった.また, 5-FU投与後のアポトーシスの変化は腫瘍体積の変化と相関し, 腫瘍の感受性と一致した.さらに, 温熱と5-FUとの併用により高いレベルのアポトーシスが誘導され, 抗腫瘍効果も増強された.温熱化学療法によるアポトーシスの誘導と抗腫瘍効果との相関が認められ, 温熱化学療法の効果発現におけるアポトーシスの重要性が示唆された.
ISSN:0911-2529
1881-9516
DOI:10.3191/thermalmedicine.12.63