全身性交流磁気刺激の非熱効果によるヒト尿中アドレナリンおよびノルアドレナリンの低下

磁気・電磁気のもつ生体非熱効果の研究のため, 生体加温能力をほとんど持たない交流磁気発生デバイス (50Hz, 0.08T) を11個椅子に据え付けた全身性交流磁気刺激装置を開発し, ヒト (男性のべ8人) を対象に30分間磁気曝射を行った.本装置でヒト体幹部に加わる磁気強度はおよそ0.3~7mT (3~70gauss) の範囲であった.検査項目は尿中アドレナリン (Ad), ノルアドレナリン (NA), VMA (Ad, NAの最終代謝産物), ならびに右肩血流, 右第3手指頭血流で, 腋下体温も同時に測定した.磁気曝射をしない対照群 (n=7) では, 実験前と後でいずれの検査項目も有意差...

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Published in日本ハイパーサーミア学会誌 Vol. 13; no. 2; pp. 84 - 92
Main Authors 日下, 史章, 仲里, 誠毅, 瀬戸, 明, 山本, 竜隆, 久光, 正
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本ハイパーサーミア学会 1997
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ISSN0911-2529
1881-9516
DOI10.3191/thermalmedicine.13.84

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Summary:磁気・電磁気のもつ生体非熱効果の研究のため, 生体加温能力をほとんど持たない交流磁気発生デバイス (50Hz, 0.08T) を11個椅子に据え付けた全身性交流磁気刺激装置を開発し, ヒト (男性のべ8人) を対象に30分間磁気曝射を行った.本装置でヒト体幹部に加わる磁気強度はおよそ0.3~7mT (3~70gauss) の範囲であった.検査項目は尿中アドレナリン (Ad), ノルアドレナリン (NA), VMA (Ad, NAの最終代謝産物), ならびに右肩血流, 右第3手指頭血流で, 腋下体温も同時に測定した.磁気曝射をしない対照群 (n=7) では, 実験前と後でいずれの検査項目も有意差はみられなかった.一方磁気曝射群 (n=8) では, 実験前を100%とするとAdは51.1% (p<0.0l), NAは57.0% (p<0.05), およびVMAは60.9% (p<0.05) にまで低下し, 統計的にも有意差が認められた.また右肩血流は226.3% (p<0.01), 右第3手指頭血流は174.9% (p<0.001) と有意に上昇した.なお磁気曝射群でも腋下体温には変化はみられなかった.これらの変化は交流磁気の非熱効果により生じたものと思われ, 交流磁気曝射によりNAとAdの合成または放出が低下したものと考えられた.また磁気の生体非熱効果は, 将来ハイパーサーミア治療にも応用が可能と考えられる.
ISSN:0911-2529
1881-9516
DOI:10.3191/thermalmedicine.13.84