クロマグロの漁獲枠配分の問題点:非定常な資源をどう配分するか
クロマグロ Thunnus orientalisは、近年大きく資源が減った国際資源として国際的に厳しい漁獲枠制限が課され、国内においてまき網や沿岸漁業などへの漁獲枠が割当てられている。その割当ての根拠が不明確であり、かつ一部地域の定置網漁業で枠を大幅に超過していることが社会問題となっている。変動するクロマグロ資源の漁獲枠の配分方法を精査し、確立する前に割当て配分が決まった。本稿では、厳しい漁獲枠の総量規制の根拠と、国内の配分枠の決まり方とその問題点、今後の展望について論じる。現状のクロマグロの資源量が過去の資源量に対して激減していることは国際合意である。 2015-16年生まれの加入量が多いこ...
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Published in | 保全生態学研究 Vol. 25; no. 2; p. 1912 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本生態学会
2020
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Subjects | |
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Summary: | クロマグロ Thunnus orientalisは、近年大きく資源が減った国際資源として国際的に厳しい漁獲枠制限が課され、国内においてまき網や沿岸漁業などへの漁獲枠が割当てられている。その割当ての根拠が不明確であり、かつ一部地域の定置網漁業で枠を大幅に超過していることが社会問題となっている。変動するクロマグロ資源の漁獲枠の配分方法を精査し、確立する前に割当て配分が決まった。本稿では、厳しい漁獲枠の総量規制の根拠と、国内の配分枠の決まり方とその問題点、今後の展望について論じる。現状のクロマグロの資源量が過去の資源量に対して激減していることは国際合意である。 2015-16年生まれの加入量が多いことから、 2017年に日本も合意した。現状の変動するクロマグロ資源の国内の捕獲枠の配分方法が不明確である。全体の漁獲金額を増やす合理的な配分方法として、低水準期に沿岸を優先し、高水準期には沖合に多く配分する方法が考えられる。そこで、現在用いられている産卵親魚量より合理的な繁殖ポテンシャルという資源量の指標を提案する。理論的には、捕獲枠の再配分を認めることで、総枠を守りつつ、有効に利用することができる。 |
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ISSN: | 1342-4327 2424-1431 |
DOI: | 10.18960/hozen.1912 |