胸膜肺全摘術を施行したChronic expanding hematoma(CEH)の一例

症例は81歳女性.2009年に喀血を主訴に受診し,左胸腔に石灰化を伴う腫瘤を指摘された.結核菌排菌を認めたため肺結核として化学療法を開始した.その後,排菌は認めなくなり自覚症状も改善したが,腫瘤の増大を認めた.chronic expanding hematoma(CEH)と診断し手術を勧めたが経過観察を希望した.2014年4月に喀血と体動時呼吸困難が出現した.排菌は認めなかったが,血腫はさらに増大し縦隔偏位も伴っていたため,当症例に対して左胸膜肺全摘(EPP)を施行した.術後縦隔偏位は解除され呼吸困難も改善した.不用意な血腫周囲の手術操作は出血や再発の危険性を高めるため,患側肺の機能回復が期待...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 34; no. 1; pp. 30 - 34
Main Authors 内海, 朝喜, 松村, 晃秀, 冨田, 栄美子, 尹, 亨彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.01.2020
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.34.30

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Summary:症例は81歳女性.2009年に喀血を主訴に受診し,左胸腔に石灰化を伴う腫瘤を指摘された.結核菌排菌を認めたため肺結核として化学療法を開始した.その後,排菌は認めなくなり自覚症状も改善したが,腫瘤の増大を認めた.chronic expanding hematoma(CEH)と診断し手術を勧めたが経過観察を希望した.2014年4月に喀血と体動時呼吸困難が出現した.排菌は認めなかったが,血腫はさらに増大し縦隔偏位も伴っていたため,当症例に対して左胸膜肺全摘(EPP)を施行した.術後縦隔偏位は解除され呼吸困難も改善した.不用意な血腫周囲の手術操作は出血や再発の危険性を高めるため,患側肺の機能回復が期待できない自験例のようなCEHに対しては,EPPは有効な術式であると考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.34.30