開心術後に持続する大量出血に対して遺伝子組換え活性型第Ⅶ因子製剤(ノボセブン®)が著効した1例

心臓血管外科手術では,コントロール困難な出血に対して,遺伝子組換え活性型第・因子製剤であるノボセブン®の投与を考慮する場合がある.症例は78歳男性,心房性機能性TR・MRによる治療抵抗性心不全と診断され,手術の方針となった.弁形成術,右房縫縮Maze術を行い,止血確認し手術終了したが,ICU入室後より800 mL/hr以上の大量のドレーン出血を認めた.計3回の再開胸を繰り返したが,明らかな外科的出血点を認めなかった.RBC 52単位,FFP 86単位,PC 100単位の補充で血液・凝固検査値は基準値まで補正されたが,出血が持続したため,ノボセブン®を合計100 μg/kg投与したところ出血量は...

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Published in心臓 Vol. 56; no. 4; pp. 404 - 411
Main Authors 曽根, 晴人, 中川, さや子, 堀井, 泰浩, 北本, 昌平, 山下, 洋一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.04.2024
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.56.404

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Summary:心臓血管外科手術では,コントロール困難な出血に対して,遺伝子組換え活性型第・因子製剤であるノボセブン®の投与を考慮する場合がある.症例は78歳男性,心房性機能性TR・MRによる治療抵抗性心不全と診断され,手術の方針となった.弁形成術,右房縫縮Maze術を行い,止血確認し手術終了したが,ICU入室後より800 mL/hr以上の大量のドレーン出血を認めた.計3回の再開胸を繰り返したが,明らかな外科的出血点を認めなかった.RBC 52単位,FFP 86単位,PC 100単位の補充で血液・凝固検査値は基準値まで補正されたが,出血が持続したため,ノボセブン®を合計100 μg/kg投与したところ出血量は急速に減少し,血栓塞栓症等の合併症なく回復した.今回,弁膜症術後の持続する出血に対してノボセブン®が奏効した1例を経験したため報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.56.404