「野生生物の管理ユニットと行政単位のギャップ」の特集にあたって

野生鳥獣は複数の行政単位にまたがって分布することが多いため、従来の都道府県単位や市町村単位という枠組みだけで管理ユニットを形成しても対処しきれないことがある。このような生物境界と行政界のミスマッチを解消するための一つの方法として、複数の都道府県や市町村による広域的な管理が必要とされている。しかし、空間的に広い範囲を一括りにする広域枠を設定するだけで、管理ユニットと行政単位のギャップは埋まるのだろうか。本特集では「鳥獣保護管理法」の対象種だけではなく、陸水系の様々な生物種の管理事例を報告することによって、生物境界と行政界のミスマッチを解決するために必要とされる管理ユニットのあり方について検討した...

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Published in保全生態学研究 Vol. 25; no. 2; p. 1909
Main Authors 稲富, 佳洋, 上野, 真由美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本生態学会 2020
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ISSN1342-4327
2424-1431
DOI10.18960/hozen.1909

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Summary:野生鳥獣は複数の行政単位にまたがって分布することが多いため、従来の都道府県単位や市町村単位という枠組みだけで管理ユニットを形成しても対処しきれないことがある。このような生物境界と行政界のミスマッチを解消するための一つの方法として、複数の都道府県や市町村による広域的な管理が必要とされている。しかし、空間的に広い範囲を一括りにする広域枠を設定するだけで、管理ユニットと行政単位のギャップは埋まるのだろうか。本特集では「鳥獣保護管理法」の対象種だけではなく、陸水系の様々な生物種の管理事例を報告することによって、生物境界と行政界のミスマッチを解決するために必要とされる管理ユニットのあり方について検討した。本特集が、日本各地で問題となっている野生生物の管理ユニットと行政単位のギャップを埋めることに貢献し、日本各地における野生生物管理を成功させる一助となれば幸いである。
ISSN:1342-4327
2424-1431
DOI:10.18960/hozen.1909