難治性の胃前庭部毛細血管拡張症(GAVE)の止血術に,ルストロンボパグの血小板増加作用が一助となった肝硬変の1例

症例は75歳女性.肝硬変で経過観察中に貧血を指摘された.精査の結果,胃前庭部毛細血管拡張症(GAVE)からの出血が貧血の原因と考えられた.アルゴンプラズマ凝固止血法(APC)を繰り返し施行したが奏効しなかった.その後も断続的に輸血を必要とした.そこで,トロンボポエチン受容体作動薬であるルストロンボパグ(lusutrombopag)を投与してからAPCを施行することにした.ルストロンボパグの投与により,血小板数を増加させることが可能であり,安全に止血術を施行し得た.また,ルストロンボパグの効果は血小板の生体半減期に比べ比較的長期にわたるため,消化管出血を生じているGAVE患者に対する止血効果をも...

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Published in肝臓 Vol. 61; no. 10; pp. 520 - 526
Main Authors 關根, 優, 内藤, 聡仁, 前田, 隆宏, 妹尾, 純一, 亀崎, 秀宏, 坂本, 大
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 01.10.2020
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.61.520

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Summary:症例は75歳女性.肝硬変で経過観察中に貧血を指摘された.精査の結果,胃前庭部毛細血管拡張症(GAVE)からの出血が貧血の原因と考えられた.アルゴンプラズマ凝固止血法(APC)を繰り返し施行したが奏効しなかった.その後も断続的に輸血を必要とした.そこで,トロンボポエチン受容体作動薬であるルストロンボパグ(lusutrombopag)を投与してからAPCを施行することにした.ルストロンボパグの投与により,血小板数を増加させることが可能であり,安全に止血術を施行し得た.また,ルストロンボパグの効果は血小板の生体半減期に比べ比較的長期にわたるため,消化管出血を生じているGAVE患者に対する止血効果をも期待できるのではないかと考えられた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.61.520