海洋学の10 年展望2021:中緯度
本稿では,亜寒帯循環,亜熱帯循環,縁辺海からなる中緯度海洋の表・中層を対象域とし,最近10 年間の海洋学の進展をレビューすると共に,新たに浮かび上がってきたいくつかの重要課題を取り上げ,それらに取り組むための観測技術,解析手法について紹介した。特に西部北太平洋の中緯度海洋に着目し,西岸境界流と大気海洋相互作用のマルチスケール現象の把握と予測,一次生産を支える栄養塩・鉄供給の3次元像の視覚化,海洋生物の多様性維持およびホットスポット形成機構の解明を,今後10年で物理・化学・生物融合で取り組むべき重要課題として取り上げた。観測技術では,生物地球化学センサーや乱流計を装備したプロファイリングフロート...
Saved in:
Published in | 海の研究 Vol. 30; no. 5; pp. 127 - 154 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本海洋学会
15.11.2021
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
Cover
Loading…
Summary: | 本稿では,亜寒帯循環,亜熱帯循環,縁辺海からなる中緯度海洋の表・中層を対象域とし,最近10 年間の海洋学の進展をレビューすると共に,新たに浮かび上がってきたいくつかの重要課題を取り上げ,それらに取り組むための観測技術,解析手法について紹介した。特に西部北太平洋の中緯度海洋に着目し,西岸境界流と大気海洋相互作用のマルチスケール現象の把握と予測,一次生産を支える栄養塩・鉄供給の3次元像の視覚化,海洋生物の多様性維持およびホットスポット形成機構の解明を,今後10年で物理・化学・生物融合で取り組むべき重要課題として取り上げた。観測技術では,生物地球化学センサーや乱流計を装備したプロファイリングフロート,高感度高精度生元素分析,網羅的遺伝子解析などの最先端技術を駆使した,多様な時空間スケールにわたる現象の観測が重要であることを提示した。解析手法では,最新の観測により得られるビッグデータの解析や高解像度モデルにより,現状の中緯度海洋プロセスを把握し,予測することの重要性を示した。 |
---|---|
ISSN: | 0916-8362 2186-3105 |
DOI: | 10.5928/kaiyou.30.5_127 |