日本人における人格特性と時計遺伝子多型の関連性についての検討

時計遺伝子は,概日リズムを調節する遺伝子であり,朝型や夜型といった24時間周期の生体リズムを効率的に調節することが知られているが,精神疾患の危険因子となりうることも確認されている。この研究ではインフォームドコンセントを得た被験者から血液検体を採取した(男性n = 34,女性n = 107)。NEO-FFIパーソナリティおよびSTAIテストを実施し,CLOCK多型が人格の特性に関連しているかどうかを測定した。統計分析には対応の無いT検定を使用し,統計的有意差はp = 0.025と定義した。統計解析の結果,多型rs3805151のNEO-FFI人格検査における開放性に有意な差異が認められた(すべて...

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Published in医学検査 Vol. 72; no. 4; pp. 487 - 491
Main Authors 青木, 理詠, 金剛, 左京, 三上, 麻里奈, 西澤, 大輔, 池田, 和隆, 中山, 京子, 小野澤, 裕也, 岩橋, 和彦
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 25.10.2023
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Summary:時計遺伝子は,概日リズムを調節する遺伝子であり,朝型や夜型といった24時間周期の生体リズムを効率的に調節することが知られているが,精神疾患の危険因子となりうることも確認されている。この研究ではインフォームドコンセントを得た被験者から血液検体を採取した(男性n = 34,女性n = 107)。NEO-FFIパーソナリティおよびSTAIテストを実施し,CLOCK多型が人格の特性に関連しているかどうかを測定した。統計分析には対応の無いT検定を使用し,統計的有意差はp = 0.025と定義した。統計解析の結果,多型rs3805151のNEO-FFI人格検査における開放性に有意な差異が認められた(すべての被験者群:p = 0.003,女性被験者群:p = 0.0004)。CLOCK多型rs3805151はNEO-FFI人格検査によって測定される開放性に影響を与える可能性が示唆された。今後は他の時計遺伝子にも着目し,人格特性と概日と概日時計遺伝子との関連についてより詳細に検討する必要がある。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.22-88