N-メチルグルシンを化学修飾したセルロース繊維によるCu2+,Ni2+,Co2+の吸着

再生セルロース繊維にN-メチルグリシンを化学修飾した吸着材(Cell-NMG)を合成し,微量のCu2+,Ni2+,Co2+を固相抽出法により分離濃縮し原子吸光分析するために使用した.Cell-NMGおよび金属を吸着した吸着材(Cell-NMG-金属)について,熱物性や,赤外分析法による分光学的特性を調べた.さらに,金属の吸着性能に関して,溶液の酸性,攪拌時間,試料液量,共存陽イオン,流速,脱着液の種類などの影響を検討した.その結果,Cu2+はpH4.8以上,Ni2+は5.5以上,Co2+は6.1以上で定量的に吸着した.これらの金属イオンを一括で吸着させるためのpHは6.5とした.流速の影響を調...

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Published in日本海水学会誌 Vol. 64; no. 3; pp. 170 - 176
Main Authors 山本, 智也, 宮脇, 健太郎, 伊藤, 治, 赤間, 美文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本海水学会 2010
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Summary:再生セルロース繊維にN-メチルグリシンを化学修飾した吸着材(Cell-NMG)を合成し,微量のCu2+,Ni2+,Co2+を固相抽出法により分離濃縮し原子吸光分析するために使用した.Cell-NMGおよび金属を吸着した吸着材(Cell-NMG-金属)について,熱物性や,赤外分析法による分光学的特性を調べた.さらに,金属の吸着性能に関して,溶液の酸性,攪拌時間,試料液量,共存陽イオン,流速,脱着液の種類などの影響を検討した.その結果,Cu2+はpH4.8以上,Ni2+は5.5以上,Co2+は6.1以上で定量的に吸着した.これらの金属イオンを一括で吸着させるためのpHは6.5とした.流速の影響を調べたところ,5~25 mLの範囲では吸着量に差はなかった.このため流速は15 mL/minとし,吸着した金属は1 mol/L HCl 10 mLを7 mL/minで流し脱着した.吸着材の吸着容量は,Cu2+,Ni2+,Co2+に対して各々0.38 mmol/g,0.27 mmol/g,0.25 mmol/gであった.これらの金属イオンを地下水,河川水,食塩に添加して回収実験をしたところ良好な結果が得られた.
ISSN:0369-4550
2185-9213
DOI:10.11457/swsj.64.170