高齢者(72-94歳)の閉鎖孔ヘルニア嵌頓に対する低侵襲治療の経験

閉鎖孔ヘルニアは比較的稀な疾患であり,近年の高齢化および画像診断の進歩に伴い遭遇する機会が増えている.手術については様々な見解があるが,以前は緊急開腹手術を必要とする疾患という認識が一般的で,現在でも広く行われている.一方で,最近の報告では腹腔鏡や鼠径法による低侵襲手術の報告が増えている.さらに,腸管壊死や穿孔が積極的に疑われない症例では非観血的整復後に待機的手術を施行した報告も出てきており,より低侵襲治療が可能であることが明らかになりつつある.当院では身体所見や画像所見から腸管壊死や穿孔を疑う所見がなければ,まず非観血的整復を行い経過観察目的に入院,そして待機的に局所伝達麻酔下で前方アプロー...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 84; no. 11; pp. 1700 - 1706
Main Authors 藤井, 康矢, 山本, 祐也, 高見, 洋司, 熊谷, 信平, 大塚, 将之, 片倉, 達
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2023
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Summary:閉鎖孔ヘルニアは比較的稀な疾患であり,近年の高齢化および画像診断の進歩に伴い遭遇する機会が増えている.手術については様々な見解があるが,以前は緊急開腹手術を必要とする疾患という認識が一般的で,現在でも広く行われている.一方で,最近の報告では腹腔鏡や鼠径法による低侵襲手術の報告が増えている.さらに,腸管壊死や穿孔が積極的に疑われない症例では非観血的整復後に待機的手術を施行した報告も出てきており,より低侵襲治療が可能であることが明らかになりつつある.当院では身体所見や画像所見から腸管壊死や穿孔を疑う所見がなければ,まず非観血的整復を行い経過観察目的に入院,そして待機的に局所伝達麻酔下で前方アプローチによる手術を行う方針としている.2010年以降,当院で経験した閉鎖孔ヘルニアの16症例(18病変)について検討し,治療法について考察したので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.84.1700