APTTクロスミキシングテストにおける直接経口抗凝固薬(DOACs)の影響

ループスアンチコアグラント(LA)は,個々の凝固因子活性を阻害することなく,リン脂質依存性凝固反応を阻害する免疫グロブリンと定義される。LAの検出は,抗リン脂質抗体症候群(APS)分類基準における検査所見の1つであり,活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)を用いたクロスミキシングテストは,臨床検査室で一般的に行われるLA検査である。近年,直接経口抗凝固薬(DOACs)が,APTTをはじめとする凝固関連検査に影響を及ぼすことが問題視されている。本研究は,4種類のDOACs(dabigatran・rivaroxaban・edoxaban・apixaban)がAPTTクロスミキシングテストに与...

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Published in医学検査 Vol. 74; no. 3; pp. 472 - 479
Main Authors 本木 由香里, 日高 愛優, 小森 麻由, 大島 由葵, 浜村 桃可, 中村 星海, 金重 里沙, 野島 順三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 25.07.2025
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ISSN0915-8669
2188-5346
DOI10.14932/jamt.24-97

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Summary:ループスアンチコアグラント(LA)は,個々の凝固因子活性を阻害することなく,リン脂質依存性凝固反応を阻害する免疫グロブリンと定義される。LAの検出は,抗リン脂質抗体症候群(APS)分類基準における検査所見の1つであり,活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)を用いたクロスミキシングテストは,臨床検査室で一般的に行われるLA検査である。近年,直接経口抗凝固薬(DOACs)が,APTTをはじめとする凝固関連検査に影響を及ぼすことが問題視されている。本研究は,4種類のDOACs(dabigatran・rivaroxaban・edoxaban・apixaban)がAPTTクロスミキシングテストに与える影響,DOAC除去剤の有効性,およびスタクロットLAを用いた確認試験の有用性を検討した。その結果,すべてのDOACモデル療法血漿でLA疑いパターンを呈し,index判定でも約98%(63/64例)でLAおよびインヒビター疑いと判定された。DOAC除去剤で処理した血漿では,APTTの短縮は認めたものの,クロスミキシングテストの即時型パターンおよびindex判定にてLA疑いが散見された。一方,APTT系LA検査の確認試験では全例でLA陰性と正しく判定できた。本研究成果より,DOAC療法施行中の患者にLA検査を実施する際は,スタクロットLA試薬を用いた確認試験を行うことが重要であると考えられる。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.24-97