術後4年目に多発遠隔転移再発をきたした早期大腸癌(T1b)の1例
症例は73歳,女性.早期大腸癌の内視鏡的粘膜切除術(EMR:endoscopic mucosal resection)を施行した.組織学的に,筋板が不明瞭であったが,病変表層からの浸潤距離が3,000μmであったため,腹腔鏡下大腸切除術を追加で行った.術後4年目の健診で胸部異常陰影を指摘され,当院を紹介受診された.血液生化学検査上,CEAとCA19-9が高値を示し,胸腹部造影CT検査で右肺上葉に結節影,肝に多発する腫瘤像を認めた.PET(positron emission tomography)検査では,CTで指摘された肺結節影,肝腫瘤にSUVの高度集積がみられた.肝腫瘤の生検病理結果では,大...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 78; no. 12; pp. 2703 - 2709 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2017
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.78.2703 |
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Summary: | 症例は73歳,女性.早期大腸癌の内視鏡的粘膜切除術(EMR:endoscopic mucosal resection)を施行した.組織学的に,筋板が不明瞭であったが,病変表層からの浸潤距離が3,000μmであったため,腹腔鏡下大腸切除術を追加で行った.術後4年目の健診で胸部異常陰影を指摘され,当院を紹介受診された.血液生化学検査上,CEAとCA19-9が高値を示し,胸腹部造影CT検査で右肺上葉に結節影,肝に多発する腫瘤像を認めた.PET(positron emission tomography)検査では,CTで指摘された肺結節影,肝腫瘤にSUVの高度集積がみられた.肝腫瘤の生検病理結果では,大腸癌由来の転移性肝腫瘤の診断であった.術前化学療法後に,肝左葉切除術と肝部分切除術を行った.今回われわれは,早期大腸癌に対する追加切除術後4年目に,多臓器に遠隔転移再発をきたした1例を経験したので報告する. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.78.2703 |