Trichophyton verrucosum 感染症の 4 例

【症例 1 】24 歳、男性、酪農業平成 16 年 6 月 22 日、顔面、左上腕の皮疹で受診した。乾癬樣の鱗屑のある、浸潤を伴う紅斑性局面が癒合していた。特に治療はしていない。 【症例 2 】24 歳、女性、酪農業、症例 1 の妻平成 16 年 8 月 21 日、右頬部、背部に中心治癒傾向の少ない紅斑性局面で受診した。2 ヶ月前に夫が牛の皮膚病に感染して治療を受け、治癒したので、自分も同じ皮膚病と考えて夫の抗真菌剤を外用していたが改善しなかった。 【症例 3 】53 歳、女性、酪農業平成 17 年 3 月 18 日、右前腕の同心円状を呈する紅斑性局面で受診した。自己判断でステロイド外用剤を使...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 p. 141
Main Authors 高橋, 一朗, 大坪, 紗和, 浅野, 一弘, 飯塚, 一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医真菌学会 2005
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:【症例 1 】24 歳、男性、酪農業平成 16 年 6 月 22 日、顔面、左上腕の皮疹で受診した。乾癬樣の鱗屑のある、浸潤を伴う紅斑性局面が癒合していた。特に治療はしていない。 【症例 2 】24 歳、女性、酪農業、症例 1 の妻平成 16 年 8 月 21 日、右頬部、背部に中心治癒傾向の少ない紅斑性局面で受診した。2 ヶ月前に夫が牛の皮膚病に感染して治療を受け、治癒したので、自分も同じ皮膚病と考えて夫の抗真菌剤を外用していたが改善しなかった。 【症例 3 】53 歳、女性、酪農業平成 17 年 3 月 18 日、右前腕の同心円状を呈する紅斑性局面で受診した。自己判断でステロイド外用剤を使用していた。 【症例 4 】10 歳、男児、父親が酪農業平成 15 年 7 月 7 日、顔面の中心治癒傾向のある環状紅斑で受診した。抗真菌剤を外用していた。 4 症例とも KOH 直接鏡検で真菌要素を認め、抗真菌剤内服、外用治療した。いずれの症例も培養にて T. verrucosum を分離した。本症は酪農畜産業従事者が感染する機会が多い皮膚の人獣共通真菌症であり、北海道の道北地方、道東地方ではしばしば経験する。典型的な皮疹は炎症症状が比較的強い、同心円状を呈する紅斑性局面であるが、皮膚科を受診するまでの前治療の有無などによって典型的でない皮疹を呈することがある。職業から本症を疑い、積極的に真菌検査をする必要がある。治療は抗真菌剤外用が主体であるが、改善しない場合、内服治療を考慮する。
Bibliography:P-101
ISSN:0916-4804
DOI:10.11534/jsmm.49.0.141.0