真菌由来の新規骨格を有する新抗真菌物質eushearilideについて

【目的】抗真菌剤の開発が求められていることから,我々は真菌由来の新規骨格を有する抗真菌性物質を探索している。今回,Eupenicillium shearii IFM54447の新規代謝産物としてユニークな構造を持つeushearilide (1)を単離し,その化学構造,抗真菌活性,また作用機序の一部を明らかにしたので報告する。【方法および結果】E. shearii IFM54447を米培地 450 g(米150 g 入りルー瓶 3 本)で25 ℃,21日間培養した後,CHCl3-MeOH (1:1) の混合溶媒で抽出した後,酢酸エチル-水で液液分配を行い,酢酸エチル抽出エキス15 g を得た。...

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Published in日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 p. 117
Main Authors 福島, 和貴, 笠原, 宏之, 滝澤, 香代子, 細江, 智夫, 河合, 清, 河合, 賢一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医真菌学会 2006
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Summary:【目的】抗真菌剤の開発が求められていることから,我々は真菌由来の新規骨格を有する抗真菌性物質を探索している。今回,Eupenicillium shearii IFM54447の新規代謝産物としてユニークな構造を持つeushearilide (1)を単離し,その化学構造,抗真菌活性,また作用機序の一部を明らかにしたので報告する。【方法および結果】E. shearii IFM54447を米培地 450 g(米150 g 入りルー瓶 3 本)で25 ℃,21日間培養した後,CHCl3-MeOH (1:1) の混合溶媒で抽出した後,酢酸エチル-水で液液分配を行い,酢酸エチル抽出エキス15 g を得た。本抽出物をシリカゲルクロマトグラフィーおよび逆相HPLCによる分離精製を繰り返すことで,eushearilide (8 mg) を得た。positive FAB-MS (C29H54NO6P),1H, 13C, 31P-NMRおよび各種二次元NMRスペクトルから, (1)の構造を24員環エステルとコリンリン酸エステルであることを明らかにした。(1)はCandida, Cryptococcus, Aspergillus, Trichophyton spp. など多くの病原真菌に有効であった。また(1)は,ミトコンドリアの強烈な膨潤を誘起し,電子伝達酵素の阻害によるミトコンドリア毒性を示し,阻害部位は,阻害剤が珍しいComplex IVと考えられた。
Bibliography:P104
ISSN:0916-4804
DOI:10.11534/jsmm.50.0.117.0