甲状腺に対するロボット支援手術

従来の甲状腺切除術に低侵襲性,整容性を高める目的で内視鏡下甲状腺切除術が開発された。その内視鏡手術の限界を克服する手術支援ロボットの導入は,多自由度鉗子,高解像度3次元画像の提供など更に高度な内視鏡手術を実現するものとなった。da Vinci surgical systemを用いたガスレス腋窩アプローチによるロボット支援下甲状腺切除術は,前胸壁,耳介後,経口などのアプローチに比して側方から甲状腺を展開するため甲状腺全体だけでなく,副甲状腺や反回神経の確認に優れており,頸部リンパ節郭清をも安全に行うことが可能となる。また,送気法と異なり空気と血液の陰圧吸引が常時可能となるため安定した術野の維持が...

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Published in日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 Vol. 37; no. 1; pp. 7 - 11
Main Author 石川, 紀彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会 2020
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ISSN2186-9545
DOI10.11226/jaesjsts.37.1_7

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Summary:従来の甲状腺切除術に低侵襲性,整容性を高める目的で内視鏡下甲状腺切除術が開発された。その内視鏡手術の限界を克服する手術支援ロボットの導入は,多自由度鉗子,高解像度3次元画像の提供など更に高度な内視鏡手術を実現するものとなった。da Vinci surgical systemを用いたガスレス腋窩アプローチによるロボット支援下甲状腺切除術は,前胸壁,耳介後,経口などのアプローチに比して側方から甲状腺を展開するため甲状腺全体だけでなく,副甲状腺や反回神経の確認に優れており,頸部リンパ節郭清をも安全に行うことが可能となる。また,送気法と異なり空気と血液の陰圧吸引が常時可能となるため安定した術野の維持が可能となる。国内では保険収載されていないことが最大の問題と言えるが,ロボット支援下甲状腺切除術は更に緻密かつ安全な次世代の甲状腺手術となり得ると考える。
ISSN:2186-9545
DOI:10.11226/jaesjsts.37.1_7