HAM(HTLV-1-associated myelopathy)患者にみられた非壊死型虚血性大腸炎から汎発性腹膜炎をきたした1例

症例は79歳,女性.腹痛,下血を主訴に前医より紹介入院となった.入院時の腹部CT検査および大腸内視鏡検査で虚血性大腸炎による腸管穿孔の診断を行ったが,まずは保存的加療を優先させた.しかし第3病日,腹部CT検査で遊離ガスの増加,腹水の出現および炎症反応の増悪を認めたため緊急開腹手術を施行した.しかし明らかな腸管壊死や腸管穿孔部位は認めず,腹腔内洗浄およびドレーン留置を行った.基礎疾患にHTLV-1-associated myelopathy(以下HAMと略す)があり,腹水の培養でPseudomonas aeruginosa,Candida albicansが検出されたことから,免疫能の低下により...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 70; no. 3; pp. 783 - 786
Main Authors 藍澤, 哲也, 岡村, 一樹, 内田, 雄三, 森山, 初男, 野口, 剛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2009
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.70.783

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Summary:症例は79歳,女性.腹痛,下血を主訴に前医より紹介入院となった.入院時の腹部CT検査および大腸内視鏡検査で虚血性大腸炎による腸管穿孔の診断を行ったが,まずは保存的加療を優先させた.しかし第3病日,腹部CT検査で遊離ガスの増加,腹水の出現および炎症反応の増悪を認めたため緊急開腹手術を施行した.しかし明らかな腸管壊死や腸管穿孔部位は認めず,腹腔内洗浄およびドレーン留置を行った.基礎疾患にHTLV-1-associated myelopathy(以下HAMと略す)があり,腹水の培養でPseudomonas aeruginosa,Candida albicansが検出されたことから,免疫能の低下により重症化したものと推測された.自験例のように免疫能の低下している患者に虚血性大腸炎をきたした場合,重症化する可能性があり,その点に十分留意する必要があると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.70.783