IS1245を用いた肺Mycobacterium avium症の臨床病型と多クローン性感染の関連についての分子疫学的検討

[目的] Mycobacterium avium症の一部の症例は多クローン性感染であることが報告されている。高度な多型性を有するIS1245をマーカーとしたRFLP分析を行い, 肺感染症の臨床像と多クローン性感染の関係について検討した。 [方法] Mycobacterium avium肺感染症を肺結核類似型, 結核後遺症に伴う気管支拡張症型, 中葉舌区型の3群に分類しIS1245を用いたRFLP分析を行った。 [結果] 肺結核類似型と結核後遺症に伴う気管支拡張症型では単クローン性感染が多く長期観察でもクローンの変化を認めない例も存在した。一方, 中葉舌区型は多クローン性感染の頻度が高く, 3種...

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Published in結核 Vol. 79; no. 2; pp. 39 - 46
Main Authors 和田, 光一, 桑原, 克弘, 渡辺, 靖, 土屋, 俊晶
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本結核病学会 01.02.2004
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ISSN0022-9776
1884-2410
DOI10.11400/kekkaku1923.79.39

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Summary:[目的] Mycobacterium avium症の一部の症例は多クローン性感染であることが報告されている。高度な多型性を有するIS1245をマーカーとしたRFLP分析を行い, 肺感染症の臨床像と多クローン性感染の関係について検討した。 [方法] Mycobacterium avium肺感染症を肺結核類似型, 結核後遺症に伴う気管支拡張症型, 中葉舌区型の3群に分類しIS1245を用いたRFLP分析を行った。 [結果] 肺結核類似型と結核後遺症に伴う気管支拡張症型では単クローン性感染が多く長期観察でもクローンの変化を認めない例も存在した。一方, 中葉舌区型は多クローン性感染の頻度が高く, 3種以上の遺伝子型を有する例も認められた。経時的変化を見ると同時多クローン性感染に加えてクローンの交代も認められ, 薬剤感受性の変化からも全く関連のない菌株と考えられた。 [考察] 病型とクローン構成には関連があり, 治療や感受性検査を行う上で多クローン性感染の可能性を考慮する必要があると考えられた。
ISSN:0022-9776
1884-2410
DOI:10.11400/kekkaku1923.79.39