α-fetoprotein産生早期胃癌の1例
症例は79歳の女性. 食欲不振を主訴に近医を受診し胃癌と診断され当院へ入院した. 左季肋部に手拳大の腫瘤を触れ腫瘍マーカーはAFP: 990ng/ml, CEA: 6-8ng/mlを示した. 胃X線および内視鏡検査で食道胃接合部直下に隆起性病変が, 胃幽門前庭部後壁に辺縁の結節状隆起を伴うIIa+IIc型の腫瘍が認められた. CTで胃小轡側に接し境界明瞭な腫瘤陰影を認めたが, 肝転移は認めなかった. 手術は胃幽門側切除術 (D2) を施行した・病理検査で胃小轡側の大きな腫瘤は胃小轡の転移リンパ節であり, 主病変はsmで組織像は高分化型腺癌を示す早期胃癌であった. AFP, CEAの免疫組織染色...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 29; no. 3; pp. 732 - 736 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.03.1996
一般社団法人日本消化器外科学会 The Japanese Society of Gastroenterological Surgery |
Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.29.732 |
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Summary: | 症例は79歳の女性. 食欲不振を主訴に近医を受診し胃癌と診断され当院へ入院した. 左季肋部に手拳大の腫瘤を触れ腫瘍マーカーはAFP: 990ng/ml, CEA: 6-8ng/mlを示した. 胃X線および内視鏡検査で食道胃接合部直下に隆起性病変が, 胃幽門前庭部後壁に辺縁の結節状隆起を伴うIIa+IIc型の腫瘍が認められた. CTで胃小轡側に接し境界明瞭な腫瘤陰影を認めたが, 肝転移は認めなかった. 手術は胃幽門側切除術 (D2) を施行した・病理検査で胃小轡側の大きな腫瘤は胃小轡の転移リンパ節であり, 主病変はsmで組織像は高分化型腺癌を示す早期胃癌であった. AFP, CEAの免疫組織染色は陽性で特に前者は病変の小領域を占める好酸性胞体の癌細胞に陽性像を示した. 術後の血清AFP値は正常化した. AFP産生胃癌は進行癌が多く肝転移率も高いため予後不良であるが本症例は術後1年2か月の現在無再発生存中である. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.29.732 |