肝疾患治療薬の作用に関する基礎的研究 CCl4肝障害の発生要因と抗酸化剤による抑制機構

四塩化炭素(CCl4)による肝細胞壊死のメカニズムについては,(1)代謝産物の小胞体膜へのcovalent bindingによるとする説と,(2)代謝産物が膜脂質を過酸化分解するためとする説(lipid peroxidation)とに分かれている.本研究はCCl4肝障害の発現におけるlipid peroxida-tionの関与を明らかにすることを目的としたものであり,方法論的には,(1) CCl4投与後から72時間までの肝組織ならびに血中のlipid peroxide,脂質などの変化の経時的観察と,(2) lipid-soluble free radical scavengerと考えられるγ-...

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Published in肝臓 Vol. 23; no. 11; pp. 1299 - 1307
Main Authors 沖田, 極, 坪田, 若子, 宮崎, 正子, 安藤, 啓次郎, 荻野, 昌昭, 村田, 誠, 小西, 知己, 半田, 哲郎, 弘, 景子, 小田, 正隆, 江崎, 隆郎, 沼, 義則, 野田, 健一, 福本, 陽平, 児玉, 隆浩, 竹本, 忠良
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 01.11.1982
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Summary:四塩化炭素(CCl4)による肝細胞壊死のメカニズムについては,(1)代謝産物の小胞体膜へのcovalent bindingによるとする説と,(2)代謝産物が膜脂質を過酸化分解するためとする説(lipid peroxidation)とに分かれている.本研究はCCl4肝障害の発現におけるlipid peroxida-tionの関与を明らかにすることを目的としたものであり,方法論的には,(1) CCl4投与後から72時間までの肝組織ならびに血中のlipid peroxide,脂質などの変化の経時的観察と,(2) lipid-soluble free radical scavengerと考えられるγ-oryzanolのCCl4肝障害抑制の両面から検討を加えた.その結果,CCl4肝障害発現の要因としてlipid peroxidationはきわめて重要な意義をもっていることを明らかにした.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.23.1299