副鼻腔嚢胞に対する嚢胞開放部シリコン板留置の試み

はじめに:副鼻腔嚢胞開口部の術後再閉鎖を予防するため,従来より,シリコンチューブの留置や粘膜フラップを洞内に翻転する工夫がなされている。しかし,いずれの方法も完成されているとは言い難い。今回,シリコン板を形成・筒状にして嚢胞開口部に留置し,術後の嚢胞開口部開存率を検討した。 対象・方法:2007年3月から2008年3月に手術加療となった副鼻腔嚢胞17症例19側を対象とした。内訳は上顎洞嚢胞10症例11側,前頭洞嚢胞3症例4側,蝶形骨洞嚢胞4症例4側で,内視鏡下に開放後,厚さ0.5mmのシリコン板を脱落防止目的の切れ込みを入れた後,筒状にして嚢胞開口部に留置した。シリコン板は3-6カ月後に抜去し...

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Published in日本鼻科学会会誌 Vol. 52; no. 1; pp. 18 - 24
Main Authors 初鹿, 恭介, 森山, 元大, 加瀬, 康弘, 山本, 卓典, 岡本, 篤司, 増山, 敬祐, 上條, 篤
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本鼻科学会 2013
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ISSN0910-9153
1883-7077
DOI10.7248/jjrhi.52.18

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Summary:はじめに:副鼻腔嚢胞開口部の術後再閉鎖を予防するため,従来より,シリコンチューブの留置や粘膜フラップを洞内に翻転する工夫がなされている。しかし,いずれの方法も完成されているとは言い難い。今回,シリコン板を形成・筒状にして嚢胞開口部に留置し,術後の嚢胞開口部開存率を検討した。 対象・方法:2007年3月から2008年3月に手術加療となった副鼻腔嚢胞17症例19側を対象とした。内訳は上顎洞嚢胞10症例11側,前頭洞嚢胞3症例4側,蝶形骨洞嚢胞4症例4側で,内視鏡下に開放後,厚さ0.5mmのシリコン板を脱落防止目的の切れ込みを入れた後,筒状にして嚢胞開口部に留置した。シリコン板は3-6カ月後に抜去した。 結果:上顎洞嚢胞1側,前頭洞嚢胞2側でシリコン板が自然脱落した。上顎洞嚢胞1側では嚢胞は開存しているが中鼻道ポリープと浮腫状粘膜が出現し経過観察中である。また,上顎洞嚢胞の1症例は転帰不明である。他17側は治癒と判定され,良好な結果であった。 結論:シリコン板を筒状にした弾性により嚢胞開口部の狭窄を予防できると考え,今回の方法を試みた。シリコン板に脱落防止を意図した切れ込みを入れたが,前頭洞嚢胞では重力や洞の形状の問題からシリコン板の自然脱落率が高い結果となり,さらなる工夫が必要と考えられた。
ISSN:0910-9153
1883-7077
DOI:10.7248/jjrhi.52.18