肝臓原発solitary fibrous tumorの1例

Solitary fibrous tumor(以下SFTと略記)の多くは胸腔内に発生し,肝臓原発のSFTの報告は非常にまれである.今回,われわれは肝原発SFTの1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.症例は73歳,男性で,前医で肝腫瘍を指摘され,精査・加療目的に当院紹介となった.造影CTで肝S6に早期濃染を伴う30mm大の腫瘍を認め,肝細胞癌の診断で肝後区域切除を行った.肉眼的には,白色の境界明瞭な腫瘍であった.病理組織学的検査では,紡錘形細胞が錯綜・増生しており,免疫染色でCK・c-kit・dog1が陰性,CD34・bcl-2・CD99が陽性であったことから肝原発SFTと診断した.肝原...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 1; pp. 184 - 189
Main Authors 工藤, 進英, 田中, 淳一, 木田, 裕之, 出口, 義雄, 尾松, 睦子, 国村, 利明, 春日井, 尚, 竹原, 雄介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2014
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.75.184

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Summary:Solitary fibrous tumor(以下SFTと略記)の多くは胸腔内に発生し,肝臓原発のSFTの報告は非常にまれである.今回,われわれは肝原発SFTの1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.症例は73歳,男性で,前医で肝腫瘍を指摘され,精査・加療目的に当院紹介となった.造影CTで肝S6に早期濃染を伴う30mm大の腫瘍を認め,肝細胞癌の診断で肝後区域切除を行った.肉眼的には,白色の境界明瞭な腫瘍であった.病理組織学的検査では,紡錘形細胞が錯綜・増生しており,免疫染色でCK・c-kit・dog1が陰性,CD34・bcl-2・CD99が陽性であったことから肝原発SFTと診断した.肝原発SFTはまれな腫瘍であるが,多血性肝腫瘍を認めた際には鑑別疾患として考慮すべきと思われた.また,再発の報告もあることから今後も慎重な経過観察が必要と考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.75.184