腸重積をきたし肛門外へ脱出したS状結腸癌の1例 本邦報告40例の検討

症例は89歳の女性で,以前より直腸脱を指摘されていたが経過観察していた。頻回の肛門痛,腸管脱出,血便を認めて当科を紹介受診した。徒手整復を試み,腸管脱出部を直腸内に還納できたが,依然腫瘤を触知する状態であった。CTでは直腸内にS状結腸の先進部を認め,腸重積と診断して緊急手術を行った。S状結腸が先進部となって直腸S状部に進入して重積をきたし,先端は手拳大で,腹膜翻転部よりも肛門側に先進しており,術中に整復を試みたが困難であった。そのため正常腸管に切開を入れて整復を行った後にHartmann手術を施行した。病理組織検査所見は5型,高分化型腺癌,MP,ly0,v0,N0,StageIであった。術後経...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 33; no. 1; pp. 111 - 116
Main Authors 福井, 康雄, 寺石, 文則, 大石, 一行, 上月, 章史, 公文, 剣斗, 中村, 敏夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.01.2013
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.33.111

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Summary:症例は89歳の女性で,以前より直腸脱を指摘されていたが経過観察していた。頻回の肛門痛,腸管脱出,血便を認めて当科を紹介受診した。徒手整復を試み,腸管脱出部を直腸内に還納できたが,依然腫瘤を触知する状態であった。CTでは直腸内にS状結腸の先進部を認め,腸重積と診断して緊急手術を行った。S状結腸が先進部となって直腸S状部に進入して重積をきたし,先端は手拳大で,腹膜翻転部よりも肛門側に先進しており,術中に整復を試みたが困難であった。そのため正常腸管に切開を入れて整復を行った後にHartmann手術を施行した。病理組織検査所見は5型,高分化型腺癌,MP,ly0,v0,N0,StageIであった。術後経過は良好で術後20日目に転院となった。S状結腸癌が先進部となり肛門外へ脱出した腸重積症例は比較的まれであり,5型は初めての報告となる。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.33.111