本人(大阪府)における新型コロナウイルス流行第1波時期の症候性罹患数のトレンド分析

目的:日本における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行の第 1 波は,国民に対する強制的な行動制限を実施することなく2020年 5 月後半には一旦下火となった.本研究では大阪府人口(880万人)における同期の有症状となったCOVID-19罹患数の継時的トレンドの特徴を明らかにする.方法:2020年 2 月27日から 5 月23日の間に大阪府内で発生届のあった,診断時有症状のCOVID-19罹患者の,発症日および感染ルートが不明か否かの情報を,大阪府健康医療部が公開する府ホームページから入手した.これを用いて発症日で見た罹患数の 7 日間移動平均を算出した.また,罹患者を感染ルート不...

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Published in保健医療科学 Vol. 70; no. 3; pp. 315 - 322
Main Authors 田中, 英夫, 森定, 一稔, 渡邉, 美貴
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 国立保健医療科学院 31.08.2021
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Summary:目的:日本における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行の第 1 波は,国民に対する強制的な行動制限を実施することなく2020年 5 月後半には一旦下火となった.本研究では大阪府人口(880万人)における同期の有症状となったCOVID-19罹患数の継時的トレンドの特徴を明らかにする.方法:2020年 2 月27日から 5 月23日の間に大阪府内で発生届のあった,診断時有症状のCOVID-19罹患者の,発症日および感染ルートが不明か否かの情報を,大阪府健康医療部が公開する府ホームページから入手した.これを用いて発症日で見た罹患数の 7 日間移動平均を算出した.また,罹患者を感染ルート不明者と判明者に 2 分し,ジョインポイント回帰分析法を用いてそれぞれの発症日で見た罹患数のトレンドを分析し,当時の社会情勢や行政の取り組みの影響を検討した.結果:第 1 波における罹患数のピークは 4 月 3 日(72人)であった.感染ルート不明罹患数の 3 月12日から 4 月 2 日までのannual percent change(DPC)は+14.8%と顕著な増加を示し,それ以後急速に減少し始め(DPC:-7.5%),特に,緊急事態宣言が出された 4 月 7 日から 5 日後の 4 月12日から 5 日間はDPCが-15.8%と,減少率が加速していた.一方,感染ルート判明者の罹患数のトレンドは,概ね 6 日から 7 日遅れて感染ルート不明罹患数のトレンドに同調していた.結論:大阪府のCOVID-19流行第1波における感染ルート不明者の罹患数のピークは 4 月 2 日であった.感染ルート判明者の罹患数の継時的変化のパターンは,感染ルート不明者のそれに 6 - 7 日遅れで同調していた.
ISSN:1347-6459
2432-0722
DOI:10.20683/jniph.70.3_315