National Health Plan における非感染性疾患(NCD)対策の現状と課題

目的:持続可能な開発目標(SDGs)における非感染疾患(NCD)対策を推進していく上で,各国の健康戦略を示すNational Health Plan(NHP)におけるNCD予防対策への取り組みを把握することは重要である.本研究では,各国のNHPを収集し,NCD予防対策に関する記載の有無を調べ,その状況を国家所得レベルことにまとめた.併せて,NCDの代表的なリスク要因に関する 2 次データの分析も平行して実施し,複合的な分析を行った. 方法:調査対象は,WHOが運営している健康戦略のデータベースであるMiNDbankに収載されている 英文NHPを発行している47カ国である.また,上述した47カ国...

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Published in保健医療科学 Vol. 66; no. 4; pp. 409 - 414
Main Authors 三浦, 宏子, 野村, 真利香, 大澤, 絵里
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 国立保健医療科学院 2017
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ISSN1347-6459
2432-0722
DOI10.20683/jniph.66.4_409

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Summary:目的:持続可能な開発目標(SDGs)における非感染疾患(NCD)対策を推進していく上で,各国の健康戦略を示すNational Health Plan(NHP)におけるNCD予防対策への取り組みを把握することは重要である.本研究では,各国のNHPを収集し,NCD予防対策に関する記載の有無を調べ,その状況を国家所得レベルことにまとめた.併せて,NCDの代表的なリスク要因に関する 2 次データの分析も平行して実施し,複合的な分析を行った. 方法:調査対象は,WHOが運営している健康戦略のデータベースであるMiNDbankに収載されている 英文NHPを発行している47カ国である.また,上述した47カ国のNCDリスク要因(喫煙率,肥満者率,アルコール摂取量,運動不足者率等)について国家所得レベルとの関連性について一元配置分散分析 を用いて調べた. 結果:NCDリスク要因の指標の多くにおいて,国家所得レベル間で有意差を認めたが,男性の喫煙率については有意差を認めなかった.対象国の57.4%において,NHP中にNCD予防に関する記載があったが,国家所得レベルとNCD予防に関する記載の割合との間には有意な関連性は認められなかった.また,NCD予防について何らかの数値目標を設定していた国は34.0%であった.数値目標が設定されたNCD予防項目のうち,最も多く認められたのが喫煙であり,以下,運動,肥満が上位を占めた.国家所得レベルとの関連性を調べたところ,喫煙目標は国家所得レベルの高低にかかわらず,大多数の国で設定されていた.一方,野菜摂取目標については,高所得国家のみで設定されていた. 結論:継続した対応が求められるNCD予防においては,NHPの役割が大きいのにかかわらず,NHP での十分な記載が認められなかった.今後,特に中所得国のNHPにNCD対策をしっかりと位置付ける必要がある.
ISSN:1347-6459
2432-0722
DOI:10.20683/jniph.66.4_409