大学体育としての野外運動によるGeneplore Modelに基づく創造性の創発機序に関する理論的検討

将来予測が困難な現代社会を超克するために「創造性」が注目されており,高等教育機関には学修者にその涵養が求められている.本稿では,大学体育としての野外運動を取り上げて,そこではどのように創造性が育まれているかの解明に取り組むが,特にGeneplore Model(ジェネプロアモデル)を手掛かりとして創発メカニズムを明らかにする.まず,学修者の創造性の涵養に対する大学体育や野外運動の可能性は,従来から実践知レベルで認識されており,理論検討の必要性が確認された.また,創造性の理論動向を概観した結果,その定義や基準等の明確化が学術上の課題であるが,近年では創造性は「環境」の関与を受けて発露することが明...

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Published in大学体育スポーツ学研究 Vol. 21; pp. 13 - 27
Main Authors 坂本, 昭裕, 渡邉, 仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 全国大学体育連合 2024
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ISSN2434-7957
DOI10.20723/jpeshe.21.0_13

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Summary:将来予測が困難な現代社会を超克するために「創造性」が注目されており,高等教育機関には学修者にその涵養が求められている.本稿では,大学体育としての野外運動を取り上げて,そこではどのように創造性が育まれているかの解明に取り組むが,特にGeneplore Model(ジェネプロアモデル)を手掛かりとして創発メカニズムを明らかにする.まず,学修者の創造性の涵養に対する大学体育や野外運動の可能性は,従来から実践知レベルで認識されており,理論検討の必要性が確認された.また,創造性の理論動向を概観した結果,その定義や基準等の明確化が学術上の課題であるが,近年では創造性は「環境」の関与を受けて発露することが明らかにされつつあることが確認された.これらを鑑みて,創造性創発の一般的認知モデルである「ジェネプロアモデル」を参照枠として,野外運動の機能と構造について検討を行った.ジェネプロアモデルでは,「生成」と「探索」という往還的プロセスの構造が組み込まれており,これらは「生成物の制約」を常に受けるが,野外運動では「自然環境」,「社会環境」,「課題内容」から構成される,いわば「課題解決の独特な制約」が創造性創発の契機となることが明らかとなった.また,グループメンバー間のシェアリングは重要な創造プロセスであるとともに,野外運動には「創造性を創発させるための技法」が周到に組み込まれていることが明らかとなった.
ISSN:2434-7957
DOI:10.20723/jpeshe.21.0_13