慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)合併患者に腹腔鏡下S状結腸切除術を施行した1症例

症例は75歳女性.14年前に末梢型慢性血栓塞栓性肺高血圧症と診断され,薬物治療抵抗性の肺高血圧が持続していた.S状結腸癌を指摘され,腹腔鏡下S状結腸切除術が予定された.術前の右心カテーテル検査で重症肺高血圧を認めたため,バルーン肺動脈形成術を施行し,肺高血圧の改善を得た後に手術を行った.術中は動脈血二酸化炭素分圧-呼気終末二酸化炭素分圧較差を循環動態の指標として麻酔管理を行い,特に合併症なく終了した.慢性血栓塞栓性肺高血圧症患者の非心臓手術は慎重な周術期管理を要する疾患ではあるが,適切な術前評価と治療介入を行うことにより,安全に手術中の全身管理を施行することが可能であった....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 40; no. 7; pp. 572 - 576
Main Authors 山田, ことの, 孫, 慶淑, 岡崎, 純子, 磯野, 史朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 15.11.2020
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:症例は75歳女性.14年前に末梢型慢性血栓塞栓性肺高血圧症と診断され,薬物治療抵抗性の肺高血圧が持続していた.S状結腸癌を指摘され,腹腔鏡下S状結腸切除術が予定された.術前の右心カテーテル検査で重症肺高血圧を認めたため,バルーン肺動脈形成術を施行し,肺高血圧の改善を得た後に手術を行った.術中は動脈血二酸化炭素分圧-呼気終末二酸化炭素分圧較差を循環動態の指標として麻酔管理を行い,特に合併症なく終了した.慢性血栓塞栓性肺高血圧症患者の非心臓手術は慎重な周術期管理を要する疾患ではあるが,適切な術前評価と治療介入を行うことにより,安全に手術中の全身管理を施行することが可能であった.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.40.572