ミクロの視点から周術期輸液管理を考える

輸液製剤の血漿増量効果は病態や状況によって変化する.このことをContext-sensitiveと呼ぶが,われわれが周術期輸液管理をする上で最も重要な法則の一つである.この原理に影響を与える因子として,近年グリコカリックスが注目されている.グリコカリックスは血管透過性の維持に深く関わっており,グリコカリックスを考慮した改訂版スターリングの原理は,状況による輸液動態の違いを理解するのに役に立つ.さらにグリコカリックスは,さまざまな侵襲によって菲薄化し,Context-sensitiveに影響を与える.このように,ミクロの視点から周術期輸液を考えることは,より良い輸液管理につながる可能性を秘めてい...

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 43; no. 5; pp. 439 - 443
Main Authors 森, 隆, 重里, 尚, 末廣, 浩一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 15.09.2023
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ISSN0285-4945
1349-9149
DOI10.2199/jjsca.43.439

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Summary:輸液製剤の血漿増量効果は病態や状況によって変化する.このことをContext-sensitiveと呼ぶが,われわれが周術期輸液管理をする上で最も重要な法則の一つである.この原理に影響を与える因子として,近年グリコカリックスが注目されている.グリコカリックスは血管透過性の維持に深く関わっており,グリコカリックスを考慮した改訂版スターリングの原理は,状況による輸液動態の違いを理解するのに役に立つ.さらにグリコカリックスは,さまざまな侵襲によって菲薄化し,Context-sensitiveに影響を与える.このように,ミクロの視点から周術期輸液を考えることは,より良い輸液管理につながる可能性を秘めている.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.43.439