舌根部癌に対するTransoral Videolaryngoscopic Surgery (TOVS)における経頸部動脈結紮の要否

咽頭・喉頭癌に対するTOVSは低侵襲手術として確立されつつある。頸部転移に対する取り扱いは施設間で差があるが,当科では頸部転移を有する症例に対して頸部郭清を同時に行っている。扁桃癌,舌根癌において,深部浸潤をともない舌根部筋層まで切除する場合,舌動脈の分枝である舌背動脈が術中,術後出血において問題となる。今回,中咽頭癌(p16陰性)T1N2bM0症例に対して,頸部郭清とTOVSを同時に施行した。先行の頸部郭清時に舌動脈を同定し結紮し,続くTOVSの過程で術創からの動脈性出血は明らかなものはなく,術後も出血なく経過良好であった。扁桃癌,舌根部癌における頸部動脈結紮の要否について考察する。...

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Published in頭頸部外科 Vol. 30; no. 1; pp. 73 - 78
Main Authors 大上, 研二, 戎本, 浩史, 酒井, 昭博, 槇, 大輔, 飯島, 宏章, 山内, 麻由
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会 2020
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Summary:咽頭・喉頭癌に対するTOVSは低侵襲手術として確立されつつある。頸部転移に対する取り扱いは施設間で差があるが,当科では頸部転移を有する症例に対して頸部郭清を同時に行っている。扁桃癌,舌根癌において,深部浸潤をともない舌根部筋層まで切除する場合,舌動脈の分枝である舌背動脈が術中,術後出血において問題となる。今回,中咽頭癌(p16陰性)T1N2bM0症例に対して,頸部郭清とTOVSを同時に施行した。先行の頸部郭清時に舌動脈を同定し結紮し,続くTOVSの過程で術創からの動脈性出血は明らかなものはなく,術後も出血なく経過良好であった。扁桃癌,舌根部癌における頸部動脈結紮の要否について考察する。
ISSN:1349-581X
1884-474X
DOI:10.5106/jjshns.30.73