外鼻切開による鼻中隔前弯矯正と穿孔閉鎖を同時施行した再手術例
症例は53歳男性。過去に受けた鼻中隔矯正術の合併症と考えられる鼻中隔穿孔による鼻呼吸時の笛音と鼻中隔前弯による鼻閉の訴えで受診した。鼻中隔前下方に8 mm,円形の穿孔と,鼻中隔の右への前弯を認めた。残存自己鼻中隔軟骨をバテングラフトとした前弯矯正と穿孔部位鼻腔両側に有茎鼻腔粘膜弁を設け,硬組織を裏打ちとする穿孔閉鎖術を計画した。定型的逆V字切開による鼻柱切開を行うことで,切開部と穿孔縁の距離を十分にとり,両側の鼻中隔粘膜を広く剥離することが可能であった。鼻中隔粘膜剥離および穿孔縁の新鮮化により,鼻中隔穿孔はやや拡大した。加工した篩骨垂直板を支持材料として穿孔の裏打ちとし右鼻腔側に縫着し,同時に...
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Published in | 日本鼻科学会会誌 Vol. 64; no. 1; pp. 115 - 122 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本鼻科学会
2025
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0910-9153 1883-7077 |
DOI | 10.7248/jjrhi.64.115 |
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Summary: | 症例は53歳男性。過去に受けた鼻中隔矯正術の合併症と考えられる鼻中隔穿孔による鼻呼吸時の笛音と鼻中隔前弯による鼻閉の訴えで受診した。鼻中隔前下方に8 mm,円形の穿孔と,鼻中隔の右への前弯を認めた。残存自己鼻中隔軟骨をバテングラフトとした前弯矯正と穿孔部位鼻腔両側に有茎鼻腔粘膜弁を設け,硬組織を裏打ちとする穿孔閉鎖術を計画した。定型的逆V字切開による鼻柱切開を行うことで,切開部と穿孔縁の距離を十分にとり,両側の鼻中隔粘膜を広く剥離することが可能であった。鼻中隔粘膜剥離および穿孔縁の新鮮化により,鼻中隔穿孔はやや拡大した。加工した篩骨垂直板を支持材料として穿孔の裏打ちとし右鼻腔側に縫着し,同時に右側鼻腔側穿孔を閉鎖した。左側では,後方に茎を有する鼻中隔粘膜弁を穿孔の天蓋側で作製し,鼻腔底側にローテートし,左側穿孔を閉鎖した。鼻中隔前弯は,左側に鼻中隔軟骨によるバテングラフトを縫着し矯正した。術後,鼻中隔穿孔は閉鎖し鼻中隔前弯も改善した。鼻中隔穿孔は鼻科手術の後遺症である場合が多く,粘膜剥離が困難である。周囲の組織を広範囲に適切な層で剥離することにより,残存組織の損傷を防止できる。通常の鼻中隔手術では操作しない鼻中隔前端から鼻中隔皮膚・粘膜の剥離を広範囲に行うことにより,軟骨膜下での穿孔周囲の剥離操作を確実とし,有茎粘膜弁のデザイン,縫合を適切に行うことができた。 |
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ISSN: | 0910-9153 1883-7077 |
DOI: | 10.7248/jjrhi.64.115 |