胸部大動脈ステントグラフト内挿術(TEVAR)術後ステントエッジからの逆行性 A 型解離に対する1手術例

症例は80歳女性.近位下行大動脈にエントリーを有する急性B型大動脈解離に対して保存的治療後,下行大動脈径の拡大と遠位弓部動脈瘤のため,zone 2への胸部大動脈ステントグラフト内挿(TEVAR)を行った.TEVAR術後偽腔血流は消失したが不全対麻痺を認め,右鎖骨下-左鎖骨下動脈バイパスを追加した.TEVAR術後75日目に意識消失を認めCTにてA型解離を認め緊急手術を行った.解離のエントリーはステントグラフト中枢端小湾で,ステントグラフトのフレアがあたっていた.手術はエントリーを切除せず,ステントグラフト内にshort elephant trunkとして人工血管を内挿固定し末梢側断端形成を行った...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 44; no. 3; pp. 133 - 136
Main Authors 片山, 暁, 北浦, 順也, 川本, 純, 橘, 仁志, 荒川, 三和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 2015
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.44.133

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Summary:症例は80歳女性.近位下行大動脈にエントリーを有する急性B型大動脈解離に対して保存的治療後,下行大動脈径の拡大と遠位弓部動脈瘤のため,zone 2への胸部大動脈ステントグラフト内挿(TEVAR)を行った.TEVAR術後偽腔血流は消失したが不全対麻痺を認め,右鎖骨下-左鎖骨下動脈バイパスを追加した.TEVAR術後75日目に意識消失を認めCTにてA型解離を認め緊急手術を行った.解離のエントリーはステントグラフト中枢端小湾で,ステントグラフトのフレアがあたっていた.手術はエントリーを切除せず,ステントグラフト内にshort elephant trunkとして人工血管を内挿固定し末梢側断端形成を行った.術後不全対麻痺症状の悪化も認めず経過は良好で,CTで胸部下行大動脈の偽腔血流も認めなかった.大動脈解離に対するTEVAR術後の逆行性A型解離は稀な合併症であるがひとたび発症すると重篤な疾患であり,TEVAR施行時のデバイス選択,手技には慎重な判断が要求される.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.44.133