O-6 全身性エリテマトーデス(SLE)疾患特異的iPS細胞を用いたSLE病態解明研究

【背景】全身性エリテマトーデス(SLE)特異的iPS細胞は,SLEの遺伝的背景を有しており研究ツールとしての可能性が期待される.我々はSLE姉妹例よりiPS細胞株(SLE-iPS)を樹立している.【方法】SLE-iPS 2株およびhealthy-iPS 1株を単球(iPS-Mono),樹状細胞(iPS-DC)へと分化させた.FACSにより単離したDCの遺伝子発現をNGSで解析した.またSLE-iPS細胞2株の全エキソーム解析を行い健常人データと比較した.【結果】SLE-iPS-DCでは,NFKBおよびinterferon(IFN)regulation, IFN signature関連遺伝子群の...

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Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 40; no. 4; p. 297b
Main Authors 山本, 一彦, 頼, 貞儀, 高地, 雄太, 永渕, 泰雄, 石垣, 和慶, 藤尾, 圭志, 林, 煥庭, 大津, 真, 夏本, 文輝, 庄田, 宏文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2017
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ISSN0911-4300
1349-7413
DOI10.2177/jsci.40.297b

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Summary:【背景】全身性エリテマトーデス(SLE)特異的iPS細胞は,SLEの遺伝的背景を有しており研究ツールとしての可能性が期待される.我々はSLE姉妹例よりiPS細胞株(SLE-iPS)を樹立している.【方法】SLE-iPS 2株およびhealthy-iPS 1株を単球(iPS-Mono),樹状細胞(iPS-DC)へと分化させた.FACSにより単離したDCの遺伝子発現をNGSで解析した.またSLE-iPS細胞2株の全エキソーム解析を行い健常人データと比較した.【結果】SLE-iPS-DCでは,NFKBおよびinterferon(IFN)regulation, IFN signature関連遺伝子群の発現が,健常人由来iPS-DCと比較して細胞刺激後に亢進した.また健常人iPS-DCとのdifferentially expression gene(DEG)のpathway解析では代謝関連のpathwayが同定された.全エキソーム解析ではSLE-iPS細胞2株に共通した41のvariantsを同定した.これらのvariantsの多くは細胞内代謝に関連していた.【結論】DC活性化により生じる細胞内代謝の変化は炎症の亢進にも関与している.SLE-iPS細胞株を用いた解析により,SLEにおける細胞内代謝関連遺伝子群の変異の集積が,DCにおける細胞内代謝および炎症関連遺伝子発現に関与している可能性が示唆された.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.40.297b