長期間培養により誘導された病原性真菌Candida albicansの染色体再編成

C. albicansはヒトの口腔、腸管などの常在菌で、多数分離される日和見感染真菌である。臨床から分離される菌株に比べ、研究室で長期間継代培養で保存されてきた菌株では染色体電気泳動核型の多様性が大きい。現在はDMSOを用いて超低温庫で保存する方法、L-乾燥法が行われているが、このような技術が普及する以前には半年ごとに植え継ぐ保存方法がとられていた。このような長期間の保存状態が染色体核型の変化をもたらす要因の一つではないかと考え、検証した。 STN22u1(URA3/ura3:ARG4)株を、乾燥による影響の少ないMIN斜面培地で23℃で長期間培養を行った。培養開始から2ヶ月後と6ヶ月後にMI...

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Published in日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 p. 62
Main Authors 岩口, 伸一, 鈴木, 孝仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医真菌学会 2006
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ISSN0916-4804
DOI10.11534/jsmm.50.0.62.0

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Summary:C. albicansはヒトの口腔、腸管などの常在菌で、多数分離される日和見感染真菌である。臨床から分離される菌株に比べ、研究室で長期間継代培養で保存されてきた菌株では染色体電気泳動核型の多様性が大きい。現在はDMSOを用いて超低温庫で保存する方法、L-乾燥法が行われているが、このような技術が普及する以前には半年ごとに植え継ぐ保存方法がとられていた。このような長期間の保存状態が染色体核型の変化をもたらす要因の一つではないかと考え、検証した。 STN22u1(URA3/ura3:ARG4)株を、乾燥による影響の少ないMIN斜面培地で23℃で長期間培養を行った。培養開始から2ヶ月後と6ヶ月後にMIN寒天平板培地に広げ、各株任意にコロニーを選択し、単集落を得た。その単集落をMIN液体培地で培養後、パルスフィールドゲル電気泳動法により染色体電気泳動核型の変化を調べた。その結果、2ヵ月後では16株のうち2株で余剰染色体(4.5)が見られ、6ヵ月後では30株のうち10株で余剰染色体(7.5/snc)が認められ、長期間の培養が染色体再編成を生じる原因の1つであることが確かめられた。この長期間培養で染色体再編成が起こった要因として、栄養状態の変化や乾燥というストレスが考えられた。(会員外共同研究者:西山由希子、濱口美帆)
Bibliography:P49
ISSN:0916-4804
DOI:10.11534/jsmm.50.0.62.0