精神科に入院中の高齢者における低体重と相関する要因

統合失調症入院患者は、一般成人と比べて低体重の割合が高いと報告されている。しかし、本疾患と低体重に関する要因は、明らかにされていない。そこで本研究は、細木ユニティ病院(現 細木病院こころのセンター)入院患者のカルテより60歳以上の高齢者で統合失調症およびその他の精神疾患を持つ患者を対象として、年齢・性別・入院時体重・現在の体重・入院期間・既往症等について、低体重とその要因との関連性を明らかにすることを目的とした。男女合算の解析では、入院期間20年未満(男性34人、女性74人)と同47年未満(男性37人、女性76人)において、体重変化率と有意な負の相関性が認められた。甲状腺機能低下症の患者を除し...

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Published in日本栄養士会雑誌 Vol. 63; no. 11; pp. 617 - 626
Main Authors 渡邊, 浩幸, 松田, 幸彦, 宮上, 多加子, 村上, 尚, 西尾, 由香
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本栄養士会 2020
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ISSN0013-6492
2185-6877
DOI10.11379/jjda.63.617

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Summary:統合失調症入院患者は、一般成人と比べて低体重の割合が高いと報告されている。しかし、本疾患と低体重に関する要因は、明らかにされていない。そこで本研究は、細木ユニティ病院(現 細木病院こころのセンター)入院患者のカルテより60歳以上の高齢者で統合失調症およびその他の精神疾患を持つ患者を対象として、年齢・性別・入院時体重・現在の体重・入院期間・既往症等について、低体重とその要因との関連性を明らかにすることを目的とした。男女合算の解析では、入院期間20年未満(男性34人、女性74人)と同47年未満(男性37人、女性76人)において、体重変化率と有意な負の相関性が認められた。甲状腺機能低下症の患者を除した場合も同様の結果が得られた。精神科入院患者における体重減少において、入院期間の長期化との関連性が認められたが、栄養状態を示す血液データとの関連性は見出されなかった。今後、低体重化予防のために、入院期間を念頭に置いた対応を行うことが重要である。
ISSN:0013-6492
2185-6877
DOI:10.11379/jjda.63.617