肌透明感評価方法の確立に向けて

「透明感」は女性が憧れる肌質の重要な要素の一つであるが,その測定方法や評価基準は統一されておらず,限られた評価者の主観による評価に頼らざるを得ないという状況がある.そこで本研究では,幅広い評価者の感覚を数値化することで客観的に評価できる手法の開発に着手した. はじめに,同一の条件で作成した肌画像に対し,一般評価者の女性80名により,透明感の目視評価スコアを7段階で付与した.次に,それらの肌画像を解析してL* a* b*値及び輝度等の色情報を取得し,目視評価スコアと色情報の相関関係を解析した.最後に,重回帰分析により,透明感の目視評価スコアを最も精度高く再現できる色情報の組み合わせを検討した. ...

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Published in日本色彩学会誌 Vol. 44; no. 3; p. 225
Main Authors 土岐, 珠未, 田淵, 拓也, 辻, 恵子, 山口, 智彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本色彩学会 01.05.2020
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Summary:「透明感」は女性が憧れる肌質の重要な要素の一つであるが,その測定方法や評価基準は統一されておらず,限られた評価者の主観による評価に頼らざるを得ないという状況がある.そこで本研究では,幅広い評価者の感覚を数値化することで客観的に評価できる手法の開発に着手した. はじめに,同一の条件で作成した肌画像に対し,一般評価者の女性80名により,透明感の目視評価スコアを7段階で付与した.次に,それらの肌画像を解析してL* a* b*値及び輝度等の色情報を取得し,目視評価スコアと色情報の相関関係を解析した.最後に,重回帰分析により,透明感の目視評価スコアを最も精度高く再現できる色情報の組み合わせを検討した. その結果,目視評価スコアは,肌画像の輝度と極めて高い相関性を示すことが分かった.さらに,b*値のSDを加味することで,「透明感」をより精度高く予測できる式を導き出した.b*値のSDは,色ムラと解釈できることから,人が感じる「透明感のある肌」とは,輝度が高く,色ムラが小さい肌であることと結論付けることが出来た.今後はこの予測式を用いることで,「肌の透明感」を数値的に評価することが出来るようになった.
ISSN:0389-9357
2189-552X
DOI:10.15048/jcsaj.44.3__225