長期の栄養治療が奏効した直腸癌術後の遅発性乳糜腹水の1例
症例は79歳、男性。直腸癌術後3ヵ月以上経過してから発症した遅発性乳糜腹水に対し、オクトレオチドを中心とした薬物投与と脂肪制限食や成分栄養剤、total parenteral nutritionなどによる栄養管理を行った。しかし、食事制限を緩めると再び増悪傾向となり、十分な効果を得ることができなかった。入院5ヵ月後に在宅栄養管理へと移行し、退院後3ヵ月を経過して腹水のコントロールと栄養状態の改善が得られた。大腸癌術後の乳糜腹水の多くは経口摂取開始早期に発症し、症例の多くは保存的に治癒するため治療に難渋することは稀ではある。しかし、特に癒着や外因性圧排などが原因で起こる晩期発症例では、従来の保存...
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Published in | 日本静脈経腸栄養学会雑誌 Vol. 33; no. 3; pp. 896 - 899 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
2018
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Subjects | |
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ISSN | 2189-0161 2189-017X |
DOI | 10.11244/jspen.33.896 |
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Summary: | 症例は79歳、男性。直腸癌術後3ヵ月以上経過してから発症した遅発性乳糜腹水に対し、オクトレオチドを中心とした薬物投与と脂肪制限食や成分栄養剤、total parenteral nutritionなどによる栄養管理を行った。しかし、食事制限を緩めると再び増悪傾向となり、十分な効果を得ることができなかった。入院5ヵ月後に在宅栄養管理へと移行し、退院後3ヵ月を経過して腹水のコントロールと栄養状態の改善が得られた。大腸癌術後の乳糜腹水の多くは経口摂取開始早期に発症し、症例の多くは保存的に治癒するため治療に難渋することは稀ではある。しかし、特に癒着や外因性圧排などが原因で起こる晩期発症例では、従来の保存的治療で速やかな改善が得られない場合がある。難治性乳糜腹水に対しては、たとえ長期間の治療を要してもきめ細かな栄養管理で全身状態が維持できれば、リンパ管の側副路が形成されると供に病態の改善が得られる可能性が示唆された。 |
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ISSN: | 2189-0161 2189-017X |
DOI: | 10.11244/jspen.33.896 |