糖尿病栄養指導実践者教育ガイドの普及とガイドライン化への検討
栄養指導の臨床エビデンス構築のためには、経験に基づく従来の栄養指導ではなく、経験年数、施設および地域によらず、一定レベルの効果を保障できる栄養指導の方法・教育プログラムの確立が必要である。そのため、本研究では独自に「糖尿病栄養指導実践者教育ガイド」(以下、E-ガイド)を考案し、複数の施設および管理栄養士でE-ガイドに基づいた栄養指導を実践し、その有効性を検討した。対象は、外来通院中で著明な慢性合併症(末梢神経障害、腎症、網膜症)を有さない非インスリン治療中の2 型糖尿病患者18 名(男性11 名、女性7 名)である。栄養指導を行った管理栄養士は9 名(指導経験年数9 . 5±13 . 8 年)...
Saved in:
Published in | 日本栄養士会雑誌 Vol. 56; no. 10; pp. 704 - 710 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本栄養士会
2013
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0013-6492 2185-6877 |
DOI | 10.11379/jjda.56.704 |
Cover
Loading…
Summary: | 栄養指導の臨床エビデンス構築のためには、経験に基づく従来の栄養指導ではなく、経験年数、施設および地域によらず、一定レベルの効果を保障できる栄養指導の方法・教育プログラムの確立が必要である。そのため、本研究では独自に「糖尿病栄養指導実践者教育ガイド」(以下、E-ガイド)を考案し、複数の施設および管理栄養士でE-ガイドに基づいた栄養指導を実践し、その有効性を検討した。対象は、外来通院中で著明な慢性合併症(末梢神経障害、腎症、網膜症)を有さない非インスリン治療中の2 型糖尿病患者18 名(男性11 名、女性7 名)である。栄養指導を行った管理栄養士は9 名(指導経験年数9 . 5±13 . 8 年)であり、指導はすべてE-ガイドに基づいて行った。なお、HbA1c 6 . 8%(NGSP)を終了の目標値に設定した。継続栄養指導は6 回までとし、HbA1c が目標値を下回った場合はその時点で栄養指導を終了とした。対象患者には継続指導終了時に指導方法に対するアンケート調査を行った。さらに、担当管理栄養士に対してもE-ガイドの評価に関するアンケート調査を実施し、指導法の有効性を検討した。その結果、栄養指導開始時と終了時のHbA1c およびBMI は、共に有意な改善が認められた(それぞれp<0 . 001、p<0 . 01)。管理栄養士の指導経験年数とHbA1c の改善率には有意な相関関係は認められなかった。これらのことから、本E-ガイドを使用することによって、指導施設ならびに指導経験年数によらず一定レベルの指導効果が得られることが明らかとなり、栄養指導のエビデンス構築に大きく寄与できるものと考える。対象患者に対する終了時アンケートでは、E-ガイドに対する肯定的な回答が多く(84 . 6%)、指導を行った管理栄養士のアンケートでもおおむね良好な回答が得られた。以上の結果から、今回考案したE-ガイドは、栄養指導の経験に関係なく、実践的で有用なものであると結論した。 |
---|---|
ISSN: | 0013-6492 2185-6877 |
DOI: | 10.11379/jjda.56.704 |