麻酔科医が考え,実践するPBM(patient blood management)─臨床現場での取り組みを中心に

今世紀に入って血液粘弾性検査でフィブリン重合が測定され,フィブリノゲン補充療法が重要視されている.日本の抗線溶療法は世界で輸血節減に貢献している.心臓血管手術において輸血アルゴリズムによる輸血節減の報告は多いが,一般手術ではまだ少ない.一般手術での新鮮凍結血漿の必要性は出血量よりもフィブリノゲンの低下に依存する.われわれは,出血量からフィブリノゲンの低下を予測し,トリガー値(130mg/dL)付近で新鮮凍結血漿の開始量を層別化している.緊急時はドライヘマト法(5分)によるフィブリノゲンの測定が有用である.症例報告や観察調査を通して臨床に還元しながら輸血節減につなげていくことが今後の課題である....

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 39; no. 5; pp. 563 - 571
Main Authors 木倉, 睦人, 浦岡, 雅博, 西野, 淳子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 15.09.2019
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Summary:今世紀に入って血液粘弾性検査でフィブリン重合が測定され,フィブリノゲン補充療法が重要視されている.日本の抗線溶療法は世界で輸血節減に貢献している.心臓血管手術において輸血アルゴリズムによる輸血節減の報告は多いが,一般手術ではまだ少ない.一般手術での新鮮凍結血漿の必要性は出血量よりもフィブリノゲンの低下に依存する.われわれは,出血量からフィブリノゲンの低下を予測し,トリガー値(130mg/dL)付近で新鮮凍結血漿の開始量を層別化している.緊急時はドライヘマト法(5分)によるフィブリノゲンの測定が有用である.症例報告や観察調査を通して臨床に還元しながら輸血節減につなげていくことが今後の課題である.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.39.563