膵野型小膵癌(TS1)の1例
症例は67歳男性.2008年,左下腹部痛を主訴に当院を受診し腹部超音波検査(以下US)で膵頭部に腫瘤を指摘され,精査加療目的で当科に入院となった.US上,膵頭部に径10×10mmの低エコーで一部高エコーが混在した腫瘤を認めたが主膵管の拡張はなかった.MDCTの冠状断の動脈相で膵頭部に淡い低吸収域の腫瘤を認め,その腫瘤は主膵管と離れた膵被膜直下に存在していた.ERCPでは,膵管に途絶像や狭窄像はなく胆管の狭窄もなかった.Stage I膵癌と診断し,外科に転科し膵頭十二指腸切除術を施行した.開腹所見では腹膜播種や肝転移を示唆する所見はなかった.術後病理診断は,浸潤性膵管癌(高分化から低分化の管状腺...
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Published in | 膵臓 Vol. 27; no. 4; pp. 617 - 625 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本膵臓学会
2012
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0913-0071 1881-2805 |
DOI | 10.2958/suizo.27.617 |
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Summary: | 症例は67歳男性.2008年,左下腹部痛を主訴に当院を受診し腹部超音波検査(以下US)で膵頭部に腫瘤を指摘され,精査加療目的で当科に入院となった.US上,膵頭部に径10×10mmの低エコーで一部高エコーが混在した腫瘤を認めたが主膵管の拡張はなかった.MDCTの冠状断の動脈相で膵頭部に淡い低吸収域の腫瘤を認め,その腫瘤は主膵管と離れた膵被膜直下に存在していた.ERCPでは,膵管に途絶像や狭窄像はなく胆管の狭窄もなかった.Stage I膵癌と診断し,外科に転科し膵頭十二指腸切除術を施行した.開腹所見では腹膜播種や肝転移を示唆する所見はなかった.術後病理診断は,浸潤性膵管癌(高分化から低分化の管状腺癌)で,No13aのリンパ節に転移を認めたことよりStage IIであった.稀な示唆に富む主膵管に変化のない小膵癌を報告する. |
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ISSN: | 0913-0071 1881-2805 |
DOI: | 10.2958/suizo.27.617 |