MEN1に合併し,粘液性嚢胞腫瘍(MCN)との鑑別困難な大型の嚢胞様形態を伴った多発性膵神経内分泌腫瘍の1例

35歳,女性.9歳時にプロラクチン産生下垂体腺腫の摘出術が施行された.成人成長ホルモン分泌不全症に対する補充療法開始4ヶ月後の腹部CTで,膵尾部に径50mm大の嚢胞性病変を偶発的に認めた.高ガストリン,高グルカゴン血症に加えてintact PTHも軽度高値であり,ソマトスタチン受容体シンチグラフィーでも同部位に集積が認められた.pNETが疑われるも,嚢胞性病変が主体であるためEUS-FNAによる確定診断が困難であり,超音波内視鏡でのcyst in cystの所見から,術前診断は粘液性嚢胞腫瘍とされ,腹腔鏡下膵体尾部腫瘍切除術が施行された.嚢胞の壁肥厚部や辺縁以外にもガストリン産生腫瘍が認められ...

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Published in膵臓 Vol. 38; no. 5; pp. 328 - 336
Main Authors 太田, 康晴, 秋山, 優, 小賀, 厚徳, 伊藤, 浩史, 星井, 嘉信, 淀川, 千佳, 高見, 太郎, 新藤, 芳太郎, 中林, 容子, 末永, 成之, 川谷, 由紀, 永野, 浩昭, 天野, 彰吾, 田口, 昭彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本膵臓学会 31.10.2023
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ISSN0913-0071
1881-2805
DOI10.2958/suizo.38.328

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Summary:35歳,女性.9歳時にプロラクチン産生下垂体腺腫の摘出術が施行された.成人成長ホルモン分泌不全症に対する補充療法開始4ヶ月後の腹部CTで,膵尾部に径50mm大の嚢胞性病変を偶発的に認めた.高ガストリン,高グルカゴン血症に加えてintact PTHも軽度高値であり,ソマトスタチン受容体シンチグラフィーでも同部位に集積が認められた.pNETが疑われるも,嚢胞性病変が主体であるためEUS-FNAによる確定診断が困難であり,超音波内視鏡でのcyst in cystの所見から,術前診断は粘液性嚢胞腫瘍とされ,腹腔鏡下膵体尾部腫瘍切除術が施行された.嚢胞の壁肥厚部や辺縁以外にもガストリン産生腫瘍が認められ,MEN1に伴うpNETと確定診断した.嚢胞を伴う膵腫瘍の鑑別診断は難しく,より多角的な視点からの検討が求められる.pNETの術後補助療法のエビデンスの構築のためにも症例の集積が望まれる.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.38.328